白夜行

2002 集英社 東野 圭吾

 

発端は質屋の主の桐原の殺人事件だった。その後、桐原が最後に会った女性・西本がガス中毒死することで、この事件は迷宮入りする。それぞれの子供である桐原亮司、西本雪穂はその苦難を乗り越え、それぞれの人生を歩んでいくが、彼らの周りには不可解な事件がたびたび起こるのである。二人の半生を描いた壮大なミステリー。

ネタバレしないで感想を書くのが難しい。謎が最後に明らかになるけど、やっぱり涙でてきた。東野氏は元エンジニアだけあってPC88、PC98などが出てきて、オウフッと思ってしまった。パソコンとかプログラムとかが一般の人がどういう風に認識しているのかが分からない。あー、んなこと書きたいんじゃないんだよ。自分は雪穂の眼差しの中にあるものを見抜けると信じたい。

ラッシュライフ

2005 新潮社 伊坂 幸太郎

 

泥棒を生業とする男。父が自殺された青年。不倫している女性カウンセラー。職を失い家族に見捨てられた男。並走する四つの物語、それらの人生が交わるときに何が見えるか。巧妙に作られた物語のパズル。

うむ。うむむ。うむむむん。

夜のピクニック

2006 新潮社 恩田 陸

 

「みんなで、夜歩く。たったそれだけのことなのにね。どうして、それだけのことが、こんなに特別なんだろうね。」

貴子を無視し続ける融。秘密を共有する二人は高校三年で初めて同じクラスになったが、ほとんど言葉を交わしたことがなかった。お互いが相手は自分を憎んでいると思っている。そんな二人は毎年行われるの夜間歩行を楽しみにしていた。朝の八時から翌朝の八時までで80キロを歩くという夜間の歩行。高校最後のこの行事に貴子はかけをした。小さな願いをこめて。二人はゴールにたどり着けるのか。遥か彼方の和解というゴールに。

良かった。夜更かしをして一気に読んでしまった。感想を書くと原稿用紙20枚におよぶ近年マレに見る痛い文になるから省略します。文章も文面も展開も心理描写もうまい。何回か読み返したいかも。

回転寿司「激安ネタ」のカラクリ

宝島社 吾妻 博勝

 

内容はエグいので省略します。
トコロテン、地物、浮物、底物。

回転寿司に行けなくなりました。
というか魚が怖くなりました。
ありがとうございました(自暴自棄的な意味で)

偽装は薬品や添加物とか使っていなかったら、イイんじゃないでしょうか。タイとして偽装している沖縄の魚があるらしいですけど、知り合いはタイよりも美味しいと言っていました。「動物園のフラミンゴが美しい羽色を保てているのも、この薬剤のおかげです」というのは知らなかった…。

もちろん、ちゃんとした店もあるという。より良いケースは、すし屋と鮮魚店の経営者が同じで、さらに魚市場の仲買人をしているケース。またはお店が自前の漁船を持っているケース。こういうケースは一般の高級店以上に高級だという。

養殖されていない魚はカツオ、サンマ、イワシ、ニシンくらいらしい。

日本酒が工業アルコールを使いまくってクオリティを落として、日本酒離れがおこったように、寿司もそのうち寿司ばなれをおこしたりしないのかな?と思った。

そういえば、ここ最近は魚を食べてない。

食品のカラクリ―驚異のフードマジックそうだったのかこの食べ物! みんな知らずに食べている!食卓の

2006 宝島社

 

食品の安さの秘密を書いた本。「外食」「コピー・加工品」「健康食品」「食品添加物」に分けて書いてある。

扱っている範囲は広いが「食品の裏側」などを参考にしているので、知っている内容も多かった。パン屋の恐怖など知らないものもあった。プロテインは笑った。大豆カスよりきな粉の方が良い。全体的には攻撃的な視点。写真が多くて内容少ないなぁ~とか、流行にのって作った本かな~とか思っていた。

ら、著者のコラムでそうではないことが分かった。「食品の裏側」の安部氏にも共感がわくという。著者の父親が食品添加物の問屋をやっていたが、友人に「こんなものは絶対に子供に食べさせるなよ」という一言で、その日のうちに儲かっていた事業をたたんだということだ。その後、父親は添加物の危険性を訴える活動を行い、著者も同様のことをしている。読みやすいので、パラパラめくってみるのも良いかもしれない。

サバがトロより高くなる日 危機に立つ世界の漁業資源

2005 講談社 井田 徹治

 

「私たちの食卓やスーパーの店先にある魚介類を手がかりに、海の環境や漁業資源の問題をたどり、二十一世紀のシーフードとの付き合い方を考えてみようというのが、本書の狙いである」―――「乱獲の実態」「養殖は漁業を救えるか」「不当表示と代用品」「漁業の明日」の4章。データを元に冷静に漁業を分析をしている。

ニュートラルな視点で包括的に漁業を網羅していて良かった。アメリカは戦争とか温暖化とかで、国際的にメチャクチャやっているという印象があったけど、漁業についてはマトモなことに驚いた。むしろ日本がメチャクチャだけど、国際会議でチャンと非を認めてたりもしているらしく、商社ではなく国内漁業の保護を志向しているようなので、ちょっと安心した。

魚によってはある程度の個体数がいないと増えていかないことがあるので、10万匹の魚がいても絶滅に向かっていたりすることがあるらしい。ワシントン条約まで言及されているのには驚いた。

どうも沿岸をコンクリートで固めたりするのも漁獲量に影響しているようだ。これは「犬と鬼」に書かれていたテトラポットを配置すれば儲かる公共事業のせいもあるんじゃないか?

「われわれは、少しばかり欲張ることをやめて、もう少し魚たちに休息期間と休息場所を与えてやるべきではないだろうか、というのが、著者の意見である。そして、もっとシーフードを大切にして、ありがたがって食べようと思う」(あとがきより)

大豆は世界を救う―1日1回大豆を食べるだけで血圧、コレステロールがぐんぐんさがる

2005 法研 家森 幸男

 

著者はカスピ海ヨーグルトを日本に広めた人だ。著者は遺伝的に100%脳卒中を起こすラットを開発していたが、これを克服するものも同時に研究した。そして、このラットでも大豆たんぱくを中心とするエサによって寿命まで生きることができることを証明した。この大豆の効能と病気の関係を研究するべく、寄付金を集め25カ国で尿検査と比較検査を敢行した。大豆の効能や比較データだけでなく、各国での試験の様子、食文化などをまとめた本である。

健康を研究しているので自分がまず健康でなくてはならないとかいてある。筆者の朝食は200Gのカスピ海ヨーグルトにすりゴマ、きなこ、食べるお茶をかけたもの。そして1日30品目を目標にしているとのこと。ヨーグルトはあまり食べてないから食べないとダメだと思った。

豆タリアンを自称する私としては大豆は最も栄養価の高い豆として布教していきたい。日本での比較検査では1日1食だけでも大豆をベースとしたヘルシーで減塩の食事によって、より健康になることを証明している。肉のアミノ酸スコアは最高の100だが、これは赤身の話で、脂肪が入ると値は69とグッと落ちるとのこと。大豆のアミノ酸スコアは100である。あと私が一番気にしている点。『人間一人が食べる牛肉を得るために使われる大豆の量を換算すると、人間が食べる量の9~10倍も必要になる。一人分の牛肉を得ようとして、8~9人分の食料を犠牲にしている、失っているといえます。』

オーストラリアでアボリジニたちを試験した話には心を打たれた。彼らの文化的背景をよく理解して根気強く運動している様がかかれている。キリスト教化、白人文化化するために、アボリジニの子供をさらって教育するということが過去に行われていたというのを初めて知った。10人に一人がさらわれて親に一生会えないとかありえない。

中国の貴陽は行ってみたい。米などが収穫しにくために大豆食品が溢れているらしい…。

筆者の挙げる7つの「長寿の法則」は以下だそうだ。
1、大豆や大豆食品を積極的にとる
2、塩分を控える
3、肉は脂肪を落として適宜とるようにする
4、緑黄色および淡色野菜や果実、海藻、キノコなどから、ビタミン、食物繊維、カリウムなどをとる。
5、魚介類でEPA,DHA,タウリンをとる
6、ごま、お茶などをとる(セサミン、カテキンはポリフェノールの一種)
7、家族や友人とともに食事を楽しみながら食べる

最後にブラジルでの大豆栽培が好意的に書かれていたが、たしか熱帯雨林を犠牲にしているはず…。うむ?ちなみに大豆食べている私は以前、会社の健康診断で悪玉コレステロールが基準値範囲を下に超えていたのだが、これはどうなんだろう?

それから

2000 新潮社 夏目 漱石

 

長井代助は三十にもなって定職もない。父親からの援助で暮らし、読書や思索に耽り、世を堕落していると考えている。そんな代助は、かつて愛しながらも義侠心から友人平岡に譲った平岡の妻・三千代と再会する。代助は動き出す人生の中で自己を省みる。

いや、やっぱりスゴイ。って自分の言葉の稚拙さに涙が出てくる。言葉も表現も心理描写も生活描写も展開も。つーか読めない漢字とか出てくるし。もうね、古さとか、ぜんぜん感じさせない。今日的なテーマだよ。はっきり言ってニート。かなり高尚なニート。風流すぎる。花を買いたくなった。

三四郎読んでないから、三部作とりあえず読もう。歴史が評価したものを読むのが効率が良い。けど寄り道もするのだ。

アラビアのロレンス 完全版

2005

 

主人公は中東に三国の独立国を作り上げ、ゲリラ戦の創始者でもあり、「知恵の七柱」の著者、ベルサイユ会議での重要な提案者でもあったロレンスであり、内容は史実にもとづいている。そんなロレンスが密命を帯びてファイサルの元へ向かい、ラクダ隊を組織してアカバを攻略し、さらにゲリラ戦を続け、遂に英軍に先んじてダマスカスに到達するまでの苦難が描き出されていく。ロレンスは何を求めたのか?映画史に残る不朽の名作。

まずはロレンスは知的で詩人で美しい。地理や民族、文化に明るく、砂漠をアラブを愛している。かっこいいッス。助演のオマー・シャリフもカッコイイんだな。これが。それで何より砂漠の映像が素晴らしい。スピルバーグがこれをCGを使ってリメイクしたらオリジナルへの冒涜だ、と言っていた。現在での制作費は3億ドルだという。映画史に残るアリの登場シーンも一見の価値あり!砂漠は美しいのー。砂漠に行きたい。にわかにアラブづいてきた。

レビュー読んだら「知恵の七柱」も読みたくなってきた…。『学者の頭脳と頑強な肉体を兼ね備え、内向的かつ活動的、ユーモアと機知に富み、奇想天外で、親しみやすいのにいつも謎めいている…。そんなロレンスの、カリスマティックな魅力を堪能して欲しい!』うきゃー☆