チェリーブラッサム

2000 角川書店 山本 文緒

 

中学生2年生の実乃は4年前に母を亡くして、今は父と姉・花乃と三人暮らし。突然、会社を辞めて「便利屋」を営むと宣言した父にあきれるも、その仕事を手伝うことになるが・・・。仕事を通して、自己を見つめ成長していく実乃の物語。

ホテル・ニューハンプシャー

1989 新潮社 中野 圭二, ジョン アーヴィング

 

1939年の夏、ウィン・ベリーは浜辺のホテルでメアリー・ベイツと出会い、サーカスを営むフロイトから熊を買う。兄フランク、姉フラニー、ジョン、妹リリー、弟エッグ。くせのある一家は、父が思いついたホテル経営に乗り出す。波乱にとんだベリー家の歴史をジョンが語る。

上巻の方がまとまりがあったように思えたが、全体的に不思議なテイストだった。うちわの冗談が分かってくるような感覚。また章の終わりの文言が幻想的できれいだった。

さまよう刃 (角川文庫 ひ 16-6)

東野 圭吾 角川グループパブリッシング 2008年5月24日

 

妻を亡くし、娘と二人で暮らしている長峰の一人娘・絵摩の死体が発見された。彼女が花火大会の帰りに、未成年の少年グループに蹂躙されたことを知る。法の裁きを不服とする長峰は、自らの手での復讐を試みる。正義とは何か?法とは何か?深遠なテーマに挑んだ作品。

やはり結末が・・・。個人的にはあまりよくなかった。けれど、途中の描写、怒り、憎しみ、悲しみは良かった。グイグイ読まされた。著者の意図どおりだが、やっぱり少年法などには疑問を感じてしまう。コンクリートつめ事件の加害者もすでに刑務所を出ているらしいと読んだ。どう考えても納得がいかない。