化粧師

2002 田中光敏 椎名桔平, 椎名桔平, 菅野美穂, 池脇千鶴, 田中邦衛, いしだあゆみ

 

化粧師、古三馬。女たちは彼に化粧をしてもらうのを待ち望んでいる。大正を舞台とした様々なドラマ。

風景がキレイ。時子(池脇千鶴)がなかなかメインストーリーに絡んでこないのはヤキモキした。うーん。うーん。全体的にエピソードはうーん。

そうだ。化粧シーンはよかった。ベッドシーン以外がラブシーンになっている映画はたまにあるけど、この場合は化粧シーンがラブシーン。官能的に美しく描かれていてよかった。

デザインパターンとともに学ぶオブジェクト指向のこころ

2005 ピアソン・エデュケーション アラン・シャロウェイ, ジェームズ・R・トロット, 村上 雅章

 

オブジェクト指向におけるデザインパターンを解説した書籍。例の教科書的な本よりも平易であるようなレビューを見て、選んだ。サンプルのソースも、シンプルで分かりやすかった。

デザインパターンを学んだのは実は初めて。けれど、すでに使っているパターンがほとんどだった。このパターンがあることによって、「○○パターン」と特定の構造を言い表す“共通語”ができるということが何よりも大きな収穫だろう。前にオブジェクト指向の本と言えばclassやvirtualについて解説している本ばかりで「本質的でない」と感じていた。パターンによってオブジェクト指向に近づいたが、それでもまだオブジェクト指向的設計を語るには言語が足りない気もする。また、もともとの建築のデザインパターンの書籍「The Timeless Way of Building」(Christopher Alexander)からの引用なども興味深かった。読んでみたい。

あと面白かったのが参考文献。技術書が並んでいるのは普通なのだが、その後である。「個人的にお薦めの書籍」と銘打って、「『Stories of Strength, Refuge, and Belonging』人の祈りを取り扱った素晴らしい書籍です」とか『中世ヨーロッパ文化史-宗教と西方文化の興隆』とか、まるでPCとは関係ないと思われるような書が並んでいる。PCの書籍よりもこれらの書籍の方に強く興味を引かれた(が、それで良いのか…)

もう1冊、リファクタリングの本も買ってあるから読まなくちゃ…。

日々是作文

2004 文藝春秋 山本 文緒

 

「日常は、喜びである。それがどんな日常であっても。どんな変化も、それは突然に起こったことでなく、気がつかないうちに徐々に自分が選んできたことなのだ。」

山本文緒さんの10年間のエッセイをまとめた本。山本さんの作品は、まだ数えるほどしか読んでいないけれど、小説を読む気分じゃなかったので読んでみた。“王様はフリチン”と男を評しているところとか、“最近同衾していますか?”などと書いている率直さがやっぱり好きです。

山本さんが横浜出身だということを知らなかった。興奮してくると神奈川湘南系の「だべ」方言が出て、有隣堂が日本で一番大きな本屋だと思っていた、とか読むと、親近感がバリバリ沸いてきた。なんちゃって横浜人の私も足しげく通った関内の有隣堂に、久方ぶりに行ってみたくなった。ファンレターでも書いてみようかなぁ…。

兜王ビートル

2006 河崎実 兜王ビートル, 兜王ビートル, 斎藤工, 中川翔子, 大原かおり

 

外宇宙の悪の集団に地球が攻め込まれる。謎のプロレスラー、兜王ビートルが忽然と現れ、悪の集団に立ち向かう。プロレス記者が謎のヒーローに迫るが、そこには悲劇のストーリーがあったのだった…。

って、何、まじめに書いてんだ、オレ。しょこたんブログを見始めたころ、たまたま出演しているものを見つけたもの。子供向きじゃないし、大人向きでもないし、プロレスファンが見るとも思えないし…。これは誰が見るのだろうか。けど期待度-100だったので意外に楽しめた。

ゾウの時間 ネズミの時間―サイズの生物学

1992 中央公論社 本川 達雄

 

動物の鼓動の間隔は体重の1/4乗に比例する、というところから始まる。非常に読みやすく分かりやすい。“大きさ”を切り口にして、動物の神秘的で効率的な設計に迫るベストセラー。

自然が作り出したものは深遠で計り知れない。おもしろいことが山のように書かれていた。「動物はなぜ車輪を採用しなかったのか?」などの率直で素朴な疑問にも丁寧に答えている。生物が進化によって、さまざまな問題をクリアーしてきたということもわかる。

その他の動物を比べることで、人間を相対的に見るような示唆的なことも書かれている。好きな歌の歌詞に「野生を忘れると、世界が狭くなってしまう」とあるが、世界を覆いつくした人間という動物を折に触れて相対的に見ないとダメだなぁ~と思った。まあ、その人間にも、世界の片隅で細々と生きる日がいつか来るのであろう。

火火

2006 高橋伴明 田中裕子, 田中裕子, 窪塚俊介, 黒沢あすか, 池脇千鶴, 遠山景織子

2006 高橋伴明 田中裕子, 田中裕子, 窪塚俊介, 黒沢あすか, 池脇千鶴, 遠山景織子

 

神山清子は陶芸にのめりこむあまりに同じ陶芸家の旦那にも逃げられるが、ついに昔の信楽焼を再現させるに至り、それまでなかった「女性陶芸家」の地位を確立する。息子は陶芸の道に進みかけるが、白血病を発病する。それから清子は骨髄バンクの立ち上げに奔走することになる。強い個性を映像化した真実の物語。

池脇千鶴が出ていたのはラッキーだった。演技も大好きな感じ。たとえるなら、同年代の役者さんよりも上に下に2オクターブ幅広い演技と、12音階に収まらない48音階くらいの“ドの1/8度上の音”みたいなものを出している感じ。しかししかし、それが霞むほど、田中裕子さんはスゴすぎる。圧倒的である。ストーリーはちょっとブナンともいえない感じだが、田中裕子さん一人でスゴイ作品になったのではないだろうか。

陶芸品は美しい。涙が出るものもある。人が少なくて静かなのも好きで、渋谷の静嘉堂文庫美術館にもちょろちょろ通っていた。韓国の青磁のふるさとにも行って来た。人間が完全にはコントロールできない火が作り出す質感は神秘を感じる。美しい陶器をもっともっと見てみたい。

テーマが陶芸かと思いきや、それと同じくらいの割合で白血病だった。「世界の…」よりもリアルに描かれているので、その辺もお勧めである。“昔、骨髄バンクは存在しなかった”という当たり前の事実が驚きである。ドナー登録はぜひしましょう。

李歐

1999 講談社 高村 薫

 

母が家を出た日から、一彰は何も感じないままに生きてきた。事件に巻き込まれた一彰は一人の男に出会い、自分の中に歓喜が流れ込むのを感じた。彼の名前は李歐。李歐に翻弄されると共に、人生の喜びを見出していく男の半生。

濃厚で壮大な日本の裏社会をテーマにした物語。「惚れたって言えよ」という李歐は男も惚れるような個性を放っている。中国語や漢詩もたびたび登場して、殺伐としたストーリーに美しい彩を添える。大陸への憧れを新たにした。

街の灯

2006 チャールズ・チャップリン

 

チャップリンが花を売る盲目の女性に出会う。笑いを散りばめた心に響くスーパークラシック作品。

ドリフ?というようなお笑いの基本を押さえながら、骨子のあるストーリー。最後は涙が出てしまった…。吉本新喜劇?とかはこういうのをベースにしているのかな。いずれにしてもチャップリンの映画は見ておいた方が良いのだろうな…。