オスマン帝国500年の平和(興亡の世界史 10)

2008 講談社 林 佳世子

私の世代だと”オスマン・トルコ”には馴染みがあるが、”オスマン帝国”という響きには馴染みがない。”トルコ”と付くと見えなくなるものがあると筆者は説く。この国はトルコではなく「何人の国でもない」帝国であり、「イスラム帝国ではない」でもないと。この自称「オスマン家の国」の興亡を描いた書籍である。

「イスタンブールの陥落」を読み終わり、この帝国がコンスタンティノープルを征服し、あのローマ帝国に続くビザンツ帝国の1000年の歴史に終止符を打ったのだ。その時のスルタンであったメフメト2世は五つの言語を操るわずか21歳の青年であった。オスマン帝国がどのように生まれてどのように発展していったのか?その強さに興味が沸々と湧いてきて、本書を手に取った。

本の構成

著者は現在トルコがあるアナトリアの状況から説明を始め、一地方豪族だったオスマン家からメフメト2世の親のムラト2世までどのよう周りの部族を統一していったかを解説する。その後、スルタンによる征服の時代がはじまり、最大の領土を迎えるスレイマン1世の時代まで続く。そこで法や世論についての話を挟み、オスマン官僚による支配の時代への変遷を明らかにしていく。その後、オスマン社会の農民や商人の生態、異教徒たちの生態、女性や詩人などに触れた後に、国際情勢と国内の変遷、さまざまな帝国内の問題と近代国家への対応と限界を描いていく。

帝国の歴史に加えて、その統合の方法と文化や他宗教・女性についても触れていて、オスマン帝国のありようやシステムの変遷がよく理解できた。文化財や資料の写真も随所に折り挟まれ、地図やシステムを説明した図などがありより楽しみながら読み進めることができた。先のメフメト2世に興味があったが、欧州に脅威を与えて知名度の高いスレイマン1世に多くのページが割かれていた。

気になったポイント1 ティマール制の変遷

興味深かったのは国家を統合する仕組みとして在郷騎士たちを取り込むためのティマール制だ。日本の戦国時代に似ている気がするが、領地とそこに紐づく税収を分配して、それと引き換えに領地の管理と軍役を課せられる。しかし時代が進み火器の導入に伴い、在郷騎士の重要度が低下してくる。それと共に徴税請負制が広がり、システマチックに徴税が行われるようになり中央にお金が集まる。戦力も在郷騎士から常備軍に100年かけて徐々に移行していった。また徴税権の売買が起こり、富が偏在していく過程で官僚組織やイエニチェリの弱体化が起こっていった。

筆者はこの徴税システムの移行を、戦費で膨らんだ財政赤字を解消するための「偉業」として、好意的に官僚の見えない手柄と見ている。一方で在郷騎士の力が落ちてくるのは地方の経済力の低下を招き、そこに住む農民などにも文化的経済的な影響があったのではないか?と感じてしまう。現在の日本が抱える富の偏在と、企業という中間組織の力の低下、地方の疲弊などを見ていると他人事ではない。官僚と結びついた大商人(グローバリスト)が国家のシステムを変えていったのではないかと考えてしまう。この自然に生まれてくる富の偏在をどう抑えていくかが国家経営の肝であるように感じる。その辺りは別に勉強を進めたい。

気になったポイント2 「何人の国でもない」オスマン帝国

「イスラム帝国ではない」オスマン帝国についてはイスラム法の中にスルタン法を位置付け、政府・税制・軍・非イスラム教徒の処遇などが明文化されていたと説明されている。もう一つの「何人の国でもない」オスマン帝国だが、章が設けられるわけではなく、大宰相にどのくらい多様性があったのかなど客観的なデータなどは示されていない。一方で人材の登用などは固定的でなく、能力のある人が出世できたというのは理解できた。それが「何人の国でもない」という多様性流動性を支えていたのではないかと感じた。以下は印象的な文章だった。

トルコでは、すべての人がうまれつきもつ転職や人生の幸福の実現を、自分の努力によっている。スルタンの素で最高のポストを得ているものは、しばしば、羊飼いや牧夫の子であったりする。彼らは、その生まれを恥じることなく、むしろ自慢の種にする。祖先や偶然の出自から受け継いだものが少なければ少ないほど、彼らの感じる誇りは大きくなるのである。

p.122 パプスブルグ家のオスマン大使ビュスペックの書簡の一部

最後に

筆者の一番言いたいことはタイトルにある「500年の平和」であるはずである。「『何人の国』でもなかったオスマン帝国のあとには、『民族の時代』が訪れた」とあるが、民族運動の中で統合されていた地域は国民国家として独立し、最後に残ったトルコも国民国家となっていく。この異民族支配から独立を果たした「近代化」の200年の過程でバルカンで流された血はいかほどか。民族単位の国ができあがっているか。バルカンはアナトリアは平和なのか。筆者は民族の時代の中で否定されてきたオスマン帝国時代をバイアスなく位置付けようと本書を締めている。

国民国家の理想に侵されている人にはぜひ読んでほしい。私はトルコ建国の父と呼ばれているケマルアタチュルクを素晴らしい人と見ていたが、どうもそんな簡単なものではないと変化した。最新のオスマン帝国の研究にもぜひ触れてみたいと思う一冊だった。

アンナラスマナラ-魔法の旋律

 Netflixでイケメンのお兄さんをフィーチャーしているザ・ファンタジーのような雰囲気に惹かれて見てみた。見てみると予想外にテーマも深く、エンターテイメントしても一級品で面白かった。

登場人物・世界観

 ユン・アイは両親はおらず妹とと一緒に貧しく暮らしている女子高校生。アルバイトでお金を稼いで家計を支えているため生活は安定していない。同級生で優等生のイルドゥンはアイに興味があるが、家がお金持ちで境遇はアイはかなり異なっている。

物語の始まり

 山の上の閉鎖された遊園地で怪しい魔術師がいて”本物の魔術”をするという噂がある。魔術をする前に必ず「あなたは魔術を信じますか?」と聞くという。ある晩にその遊園地に迷い込み、その魔術師の”本物の魔術”に魅了され、そこから魔術師との交流が始まるのである。

テーマ ー それぞれの生きにくさ

 アイは経済的に困窮していて、学校の食堂でブッフェの料理をこっそり持ち帰るような状況である。それでなく生き別れた両親の問題もあり、惨めな人生を送っていると感じている。けれども自分を生きにくくしているのは経済的な状況だけではないと、ある時気づくのである。アイはそこから脱するのは簡単ではない。一方でお金持ちで優等生のイルドゥンは幸せかというとそうではない。有名な判事の父親を持つ彼は、多くのものを与えられるが「両親に望まれた目標に向かって進んでいるだけだ」とある時気づくのである。けれども、イルドゥンとてそこから抜け出すのは簡単ではない。境遇が違う二人がそれぞれの問題にどう向き合っていくかも目が離せない。

最後に

 このドラマはミュージカルである。はじめから歌と踊りで始まるが、途中にも突然アイやイルドゥンが自分の想いを歌いだしたりして楽しい。重いテーマだけど楽しく見ていられるのはこの愉快な構成のためだと思う。さらに魔術師やその周辺に不可解な事件がつきまとう。この謎も物語を引っ張っていくが、最後にすべての伏線が回収されて気持ちよく解決するのでご心配なく!

 何かうまく行かなくてもがいている人は勇気を与えられる作品。あとは現実逃避したい人にもお勧めかも。

還魂

2022 tvN パク・ジュンファ

 中二病気味の娘はアクションなどが入っているファンタジーは楽しめるのではと薦めたNetflix作品だが、見てみると複雑な人間関係の中に様々な伏線がはられた見ごたえのあるもので、自分もハマってしまった。大人も子どもも楽しめるファンタジーロマンスドラマである。

登場人物・世界観

 テホ王国という場所で、水の気を使う術士がいる世界。4つの名家、パク家、チャン家、ソ家、チン家がある。パク家はテホ国の最大組織「ソンニム(松林)」を統括しており、術士教育機関である精進閣には術士が所属している。術の中には禁術の還魂術があり人の魂を入れ替える術である。この術を使って身体を入れ替えたり、死にそうな人に健康な人の身体をあてがったりできる。
 また、それぞれの名家には若者がいて、比較的仲良く交流している。ソンニムの統帥の子どもはパク・ダング。チャン家にはおぼっちゃまのチャン・ウク。ソ家にはソンニムに留学してきているソ・ユル。チン家にはお嬢様のチン・チョヨン。この中でチャン・ウクだけが術を使えない。
 主人公はナクスという女性で、強い術を使うことができる一匹狼の殺し屋。ソンニムの術師と戦っている。

物語の始まり

 ナクスは組織の求めに応じて、高度な術を駆使して殺し屋として働いてきたが、ソンニムとの戦いでついに負傷する。追い詰められたナクスは身体を入れ替える還魂術を使って負傷した身体を捨てて、ムドクという身体に乗り移る。ムドクの身体は弱々しくでナクスであったときの自分の力を出すことはできない。そんな折、ムドクはチャン家のお坊ちゃまのチャン・ウクの下女として身の回りの世話を焼くことになる。
 チャン・ウクは術を使えるようになるために様々な師匠に弟子入りしているが、未だ術を使えない。そんな折にチャン・ウクは下女のムドクは実はナクスであることを見抜き、弟子入りすることになる。

気になったポイント

 術を使えるという不思議なファンタジー世界だが、ハリボテ感はなく奥行きのある世界として感じて没入できる。理由の一つは術やその他で使われるシーンのCGが美しく幻想であることかもしれない。また回想シーンなどで過去からつながる現在の時間の流れを描いているのとともに、主人公が暮らす地域以外の場所も描かれていて空間的な広がりも描いていて幻想的な世界を抜け目なく形作っている。

 また脚本がコメディ小話のようなものを挟んで、視聴者の気持ちを緩ませてくれている。またムドクを演じているチョン・ソミンさんの愛嬌のある演技も全体的な雰囲気を柔らかくする。走っている姿だけでも運動神経がよくなさそうで可愛げがある。シーズン2は彼女がいなくなるようだが、私も心配している視聴者の一人である。

最後に

 過去から続くそれぞれの思惑に翻弄され、主人公たちはたびたび苦境に立つ。しかしその苦境の中でチャン・ウクと師匠のムドクが手を取り合って成長し、問題を打破していく物語になっている。またなかなかうまく行かないラブロマンスでもあり、血みどろの戦いシーンもあるが全体としてはコメディタッチで描かれていて、力を抜いて鑑賞できる。還魂術によって人が入れ替わることで、物語を複雑で謎の多いものにしていて、多くの伏線を生む魅力的なストーリーの源泉となっている。シーズン1の20話が終わっても伏線をすべて回収しきれていない。

 基本的にはラブコメディでもあるので広く楽しく見られるドラマです。シーズン2も製作中ということなので、早めにシーズン1を見て準備しておくことをおすすめします!

ウイルス学者の責任 (PHP新書)

2022 PHP研究所 宮沢 孝幸

 宮沢先生はウイルス学の専門家だが、藤井聡先生といっしょにYouTube番組に出られたりしていた。初期の頃から政府の対策に疑問を呈していらっしゃったので、応援する気もあり、買ってみた。

本の構成

 本書は六章立てになっています。一章では国のコロナウイルス政策を批判していて、自身の考えと訴えた施策を説明している。二章ではワクチンの構造や仕組みなどと考え。特に子どもや妊婦に対しての影響を心配している。三章では先生が過去に実際に遭遇したDNAを書き換えるレトロウイルスにまつわる2つの事件に立ち向かった経緯と結果を紹介。猫ではありますが、ワクチンの中にレトロウイルスが入っていたというもので衝撃的です。会社側の不正義について書かれています。四章では自身が関わった今市事件についてです。唯一の物証である猫の毛のミトコンドリアの一致が鍵になっていて、その反証に携わり、国側の不正義を垣間見ます。五章では研究者として大切にしていること、六章ではネイチャーに論文が発表されたりしている自身の研究者としての歴史を語っている。

ポイント ー 世界的な国や会社の不正義

 先生が見つけた試薬の問題を放置する会社やアメリカの機関。日本でも猫のワクチンの問題について農水省は動かない。それで論文にして発表するという手段で対抗している。また今市事件については科学的にありえないことが”科学的に検証された証拠”として検察が提出して、一人の人の人生を左右している。

 統計もそうだが、一般の人が”科学的”というような言葉を聞いたら、自分では検証ができないので信じてしまう。そういうことを国が言い出したら、まずは疑わなくてはいけないのだと改めて思った。

ポイント ー 組織論

 五章では研究室の運営のことも書かれているが、恩師の姿勢などにならったりして自身の方向性も語っている。「ダメだと言われている人を大切にする組織が強い」というのは共感した。ダメな人を排除しようとすると次のダメな人を探してきて、組織として安定性がかける。ダメと言われている人を大切にして、その人にも役割を与えて、組織運営をするのが良いと。いろいろな個性が集まって仕事をするのが良いと至極まっとうなことをおっしゃられていた。

 きっと国とか大きな組織についても同じことが言える気がした。ダメと言われているような人も役割を与えられて幸せに暮らす国が良いのだと思う。国は良い研究でなくて、良い組織を作っている人にお金をもっと投入すべきだと思う。

最後に

 自分の能力を自分のためだけに使う人に対しては正直、残念に思う。長いものに巻かれている人も残念に思う。宮沢先生はそうではない。別のところで「能力のある人はそれを人のために使え」とおっしゃっているのを聞いたし、ご自身でもそれを実践なされていると思う。利他の精神を持った人が増えれば世の中が良くなると思う。そして利他の精神を持った人が多かったからこそ日本が発展したのだと思う。自分もこう有りたいと思う人に出会えてよかったと思う。

 コロナウイルスやmRNAワクチンについて知りたい人や、宮沢先生の歴史について知りたい人にはうってつけの一冊です。

 

ばにらさま

2021 文藝春秋 山本 文緒

 大ファンの山本文緒先生の長編が出た後にすぐに短編が出ておどろいで即買った。

本の構成

 派遣社員と付き合っている中嶋の話(ばにらさま)/専業主婦の話(わたしは大丈夫)/胡桃と舞子の付かず離れずの生活(菓子苑)/祖母の昔話(バヨリン心中)/避暑地の作家の話(20×20)/結婚しない女性の生き方の話(子供おばさん)の6編の短編が収録されている。

物語の始まり

 中嶋はもてない新入社員だが、同じ会社の派遣社員の竹山さんに誘われて付き合うことになる。竹山さんは白くて手足が冷たいので友達は「バニラさま」と呼んでいる。デートをしているが、何かチグハグな感じである。

最後に

 繊細な内容なので細かく触れたくない。もちろん分析的なこともおこがましくてできない。ただ全編に人生の物悲しさというか、やるせなさのような詰まっていると感じる。さらに読み返すと、派遣社員などへの問題提起や、没落していく日本への警告も詰まっているようにも感じた。山本先生からのメッセージなのかもしれない。

 短編で読みやすいし、女性についての話だけど多くの人に読んでもらいたい。なんとも言えない読後感を味わってもらいたい。やはり女性におすすめなのかな。けど、ぜひ男性諸君にも読んでもらいたい!

息子

1991 松竹 山田洋次

 若い時に見て感動した作品。娘に見せたくて見てみたが、自分も以前と変わらず感動できた。ただ昔は気づかなかったお父さんの感情に大きく共感できた。

登場人物

 時代は1990年代のバブル景気のころ。哲夫は岩手から出てきてアルバイトをして不安定な生活を送っている。父の昭男は妻を亡くし岩手で一人暮らし、哲夫を心配している。征子(せいこ)は鉄工所の得意先である製作所で働く工員だが、聴覚に障害がある。

物語の始まり

 東京の居酒屋でアルバイトをしている哲夫は、母の一周忌で帰った故郷の岩手でその不安定な生活を父の昭男に戒められる。その後、哲夫は下町の鉄工所にアルバイトで働くようになるが、製品を配達しに行く取引先で征子という美しい女性に好意を持つが、なかなかきっかけを掴めない。哲夫の想いは募るが、あとから彼女の障害について知る。

テーマ

 哲夫は征子の障害を物ともせずにアプローチしていく。一方の征子ははじめは戸惑うが徐々に真摯な想いを理解していく。二人の様子は美しく描かれている。父の昭男は落ち着かない「息子」を心配しているが、結婚を申し込んだと知って驚く。「本当に哲夫でいいのか?」と征子を本気で心配する。心優しく美しい征子が哲夫で良いというのと昭男は嬉しくて眠れなくなってしまう。

 以前は障害の困難を乗り越えて共に手を取り合って歩む姿が心に残った。もちろんその姿も変わらず印象的だったが、今回は息子を心配する父と喜ぶ父、極めつけの最後の回想シーンがグッと来た。自分もいつかこのような感情を抱くのであろうかと。

最後に

 息子や父の描写の他に、時代の雰囲気の描写が非常に勉強になる。寂れていく農村、地方からの出稼ぎで東京の発展が支えられていたこと。今よりも熱気があった時代。そんな時代描写などは郷愁を感じさせるように描かれてもいるが、実は日本の問題点を描いている気もする。

 息子を持つ父親は特に、子を持つ父親は見なくてはいけない名作。広く鑑賞されてほしい作品です。

かがみの孤城

2017 ポプラ社 辻村深月

おすすめの本などで良く見たので、手にとった。読み始めると面白くて一晩で読んだ。

登場人物

 安西こころは中学生になって学校に行けなくなった。行こうとするとお腹が痛くなる。共働きで忙している親には本当のことを言えないが同級生からのいじめが原因である。5月から家で過ごしている。

物語の始まり

 家に一人でいると部屋の鏡が光りだす。手をのばすと吸い込まれて、狼の仮面をかぶった少女に「安西こころさん。あなたは、めでたくこの城のゲストに招かれました。」と告げられる。鏡の中の城にはこころと同じように自分の部屋から来た子どもたちが6人いた。”オオカミさま”は鍵を見つければ、その城の中にある秘密の部屋に入ると願いが叶うという。城が消えてしまう3月31日までに探す必要がある。
 城は9時から5時まで合いていて、各自の部屋が用意されているので、こころは学校に行かない間にはその部屋に通い出す。他の6人も各自ゲームをしたりして交流が始まる。

テーマ

 「自己紹介が終わって、さっきからまた、みんな、互いに目を合わせなくなっている。黙ってしまう。
 言葉遣いがつっけんどんだったり、たどたどしかったり、いろいろだけど、それでも全員が心と同じことに気づいてそうだと分かったからだ。
 みんな、学校にいっていない。」

 不登校がテーマである社会派のファンタジーである。自分の世代でも友達が不登校になって迎えに行ったりしていたが、いつもお腹が痛くなっていた。娘の小学校でも昇降口に丸くなっていて、校舎に足を踏み入れられない子供をみた。小中高合わせて30万人以上が不登校という。もうマイナーな存在ではない。いじめについても虐められた側が学校を去るのはおかしい。裁判に訴えていじめた側が学校を去るようにしてほしい。

最後に

 自分は何故か不登校にはならなかったが、どちらかというといじめられる側だった。課程でのストレスなどもあると思うが、いじめを発生させてはいけない。また、よくわからない時代錯誤な画一的な教育をしている弊害もあると思う。最低限のラインだけ決めて、あとは自由にやればいいと思う。普通の企業だったらこの不登校の事態を重く見て改善に動くとおもう。教師の事務作業を減らしたり、教師側の労働環境を改善する必要もある。また義務教育は親の義務とされているが、国も教育を受けたくなるような学校を作る義務を負ってほしい。給食費だって教材費だって「義務教育は、これを無償とする」に違反していて、ハードルを作っていると思っている。

 とはいえ、辻村さんの素晴らしい仕掛けのせいで最後は泣かされてしまった。読みやすいし、大人にも子供にもおすすめです!

ジョゼと虎と魚たち

2020 松竹 タムラコータロー

 実写映画を見て、田辺聖子の短編も読んだ大好き大好きな話だが、アニメ化されたと聞いて映像もきれいだったので映画館に見に行った。実写映画とはまったく違う脚本でまた別な方面から考えさせる映画になっていて、素晴らしかった!

登場人物

 恒夫は海洋生物学を専攻する22歳の大学4年生。幼少の頃、メキシコの海のみに生息する「クラリオンエンゼル」を近所のアクアショップで見かけて以来、その群れを自分の目で見ることを夢に抱いている。通称ジョゼは幼いころから車椅子生活を送り、現在は祖母と二人暮らし。外は危ないと外出はさせてもらえず日中のほとんどを家で過ごして、自室で様々な絵を描いている。

物語の始まり

 ある夜のバイト帰りに坂道を猛スピードで下ってくる車椅子の女性、ジョゼを助ける。そのまま家まで送ってくると高額なバイト料を提示されて、ジョゼの相手をするように依頼された恒夫は留学費用のためにアルバイトとして通うようになる。ジョゼの可愛らしい容姿とは裏腹な高飛車な言動に翻弄され、アルバイトを辞めようとする。しかし一緒に様々な場所を訪れるうちにジョゼのことを理解していく。

テーマ

 一番ハイライトされていたのはハンディーキャップを持つ人への偏見や限界や可能性と感じた。いろいろな制約を課される中でできることもあるのかもしれない。けれど、自分がそのような状態に陥ったときに希望をもって前を向いて行けるかは、非常に難しい問題だということを胸元まで突きつけられた。

 もう一つは世界の美しさ・面白さというのだろうか。ジョゼは恒夫といっしょに町に出るようになるが様々なものを初めて体験し子供のように感動する。それが感動的なのだ。私達が何気なく見逃している風景などは何度も見ていたりもう一度見ることができると思っているからかもしれない。それを初めて見たり二度と見れないものだとしたら物の見え方は変わるだろう。

最後に

 映像も美しいし涙なくして見ることができないし、実写版と同じように今後の人生で何度も見返す映画だと思う。実写版を見た人にもおすすめできるし、制約を課される人にも一度自らを省みる機会を与えてくれる映画かもしれない。とにかくおすすめです!

Life! (原題: The Secret Life of Walter Mitty)

Secret life of Walter Mitty

 

“To see the world, things dangerous to come to,
To see behind walls, to draw closer,
To find each other and to feel,
That is the purpose of life.”

世界を見よう、
危険に立ち向かおう、
壁の向こうにあるものを見よう
そこに向かって行こう、
互いを見つけよう、
感じるよう。
それが人生の目的だ。

 

ウォルター(ベン・スティラー)は、『LIFE』編集部のネガフィルム管理部門で真面目に働きながらも、地味で平凡な人生を送る冴えない男。ある日出社したウォルターは、突然のライフ社事業再編と、それによるLIFE誌の廃刊を知らされる。

この廃刊を知っていたLIFE誌を代表するフォト・ジャーナリストのショーン(ショーン・ペン)は、LIFE誌のための最後の撮影フィルムを届けた。しかしショーンが「自身の最高傑作ゆえに、最終号の表紙に相応しい」と記す「25番目のフィルム」は撮影フィルムから欠けていた。

25番目のフィルムのありかを聞くため、ウォルターは旅するショーンを追って旅に出る。内にこもりがちの男が自分と向き合い、新しい自分に出会う物語。

 

大自然の映像も美しく、ウォルターが過去の自分を顧みるとともに、力強く自分を再発見していく様に感動した。若い頃の私は未知なるものに出会うために旅をしていたんだった。 私も今の自分を脱して、未知に向かって行かなければ!

 

Webサービス開発徹底攻略 (WEB+DB PRESS plus)

勝間 亮, 石田 忠司, 吉田 俊明, かなだ まさかつ, 牧本 慎平, 成田 一生, 舘野 祐一, 濱崎 健吾, 鈴木 慎之介, 齊藤 宏多, 杉谷 保幸, 江口 滋, 上谷 隆宏, 青木 俊介, 久保 達彦, 池邉 智洋, 谷口 公一, 田淵 純一, 伊野 友紀 技術評論社 2013年1月26日

 

メジャーWebサービスの裏側。

非常に勉強になった。クックパッドが一番混み合うのはバレンタインデーとは。