ばにらさま

2021 文藝春秋 山本 文緒

 大ファンの山本文緒先生の長編が出た後にすぐに短編が出ておどろいで即買った。

本の構成

 派遣社員と付き合っている中嶋の話(ばにらさま)/専業主婦の話(わたしは大丈夫)/胡桃と舞子の付かず離れずの生活(菓子苑)/祖母の昔話(バヨリン心中)/避暑地の作家の話(20×20)/結婚しない女性の生き方の話(子供おばさん)の6編の短編が収録されている。

物語の始まり

 中嶋はもてない新入社員だが、同じ会社の派遣社員の竹山さんに誘われて付き合うことになる。竹山さんは白くて手足が冷たいので友達は「バニラさま」と呼んでいる。デートをしているが、何かチグハグな感じである。

最後に

 繊細な内容なので細かく触れたくない。もちろん分析的なこともおこがましくてできない。ただ全編に人生の物悲しさというか、やるせなさのような詰まっていると感じる。さらに読み返すと、派遣社員などへの問題提起や、没落していく日本への警告も詰まっているようにも感じた。山本先生からのメッセージなのかもしれない。

 短編で読みやすいし、女性についての話だけど多くの人に読んでもらいたい。なんとも言えない読後感を味わってもらいたい。やはり女性におすすめなのかな。けど、ぜひ男性諸君にも読んでもらいたい!