ぼくらの 1 (1)

2004 小学館 鬼頭 莫宏

 

夏休み――自然学校にやってきた15人の少年少女。
「きみたち、ゲームをしないか?」
ココペリと名乗る謎の人物と、ゲームの契約を結ぶ。
しかし、この時点ではゲームのルールを知らなかった。

地上に1体の敵が現れる。その敵と少年少女が操作するロボットが戦闘する。戦いに負けたり、勝負がつかず48時間経過すると、地球は破壊され、全人類のみならず地上の全生物が死滅する。

ロボットの操縦者として、事前に契約した者の中から1名が選ばれる。ロボットは人の生命力で動く。一戦闘する代わりに、操縦者の命を奪う。

何を守りたいか?
何のために生きるのか?
何のために死ぬのか?
何のために殺すのか?

生と死、命について真正面から描いた作品。

ローマ人への20の質問

2000 文芸春秋 塩野 七生

 

ローマ人の物語の塩野先生の本。一般的に流布されているローマ像などについての率直な質問と答えが会話としてかかれている。

やはりローマを肯定する論調。ローマ人の物語からの引用も多かった。塩野先生のスタンスが随所に語られている。

復習になったのかな?特に読まなくて良かったかも。ローマ人の物語は途中で止まってしまっている。1巻から再読したい。

デザインパターンとともに学ぶオブジェクト指向のこころ

2005 ピアソン・エデュケーション アラン・シャロウェイ, ジェームズ・R・トロット, 村上 雅章

 

オブジェクト指向におけるデザインパターンを解説した書籍。例の教科書的な本よりも平易であるようなレビューを見て、選んだ。サンプルのソースも、シンプルで分かりやすかった。

デザインパターンを学んだのは実は初めて。けれど、すでに使っているパターンがほとんどだった。このパターンがあることによって、「○○パターン」と特定の構造を言い表す“共通語”ができるということが何よりも大きな収穫だろう。前にオブジェクト指向の本と言えばclassやvirtualについて解説している本ばかりで「本質的でない」と感じていた。パターンによってオブジェクト指向に近づいたが、それでもまだオブジェクト指向的設計を語るには言語が足りない気もする。また、もともとの建築のデザインパターンの書籍「The Timeless Way of Building」(Christopher Alexander)からの引用なども興味深かった。読んでみたい。

あと面白かったのが参考文献。技術書が並んでいるのは普通なのだが、その後である。「個人的にお薦めの書籍」と銘打って、「『Stories of Strength, Refuge, and Belonging』人の祈りを取り扱った素晴らしい書籍です」とか『中世ヨーロッパ文化史-宗教と西方文化の興隆』とか、まるでPCとは関係ないと思われるような書が並んでいる。PCの書籍よりもこれらの書籍の方に強く興味を引かれた(が、それで良いのか…)

もう1冊、リファクタリングの本も買ってあるから読まなくちゃ…。

日々是作文

2004 文藝春秋 山本 文緒

 

「日常は、喜びである。それがどんな日常であっても。どんな変化も、それは突然に起こったことでなく、気がつかないうちに徐々に自分が選んできたことなのだ。」

山本文緒さんの10年間のエッセイをまとめた本。山本さんの作品は、まだ数えるほどしか読んでいないけれど、小説を読む気分じゃなかったので読んでみた。“王様はフリチン”と男を評しているところとか、“最近同衾していますか?”などと書いている率直さがやっぱり好きです。

山本さんが横浜出身だということを知らなかった。興奮してくると神奈川湘南系の「だべ」方言が出て、有隣堂が日本で一番大きな本屋だと思っていた、とか読むと、親近感がバリバリ沸いてきた。なんちゃって横浜人の私も足しげく通った関内の有隣堂に、久方ぶりに行ってみたくなった。ファンレターでも書いてみようかなぁ…。

ゾウの時間 ネズミの時間―サイズの生物学

1992 中央公論社 本川 達雄

 

動物の鼓動の間隔は体重の1/4乗に比例する、というところから始まる。非常に読みやすく分かりやすい。“大きさ”を切り口にして、動物の神秘的で効率的な設計に迫るベストセラー。

自然が作り出したものは深遠で計り知れない。おもしろいことが山のように書かれていた。「動物はなぜ車輪を採用しなかったのか?」などの率直で素朴な疑問にも丁寧に答えている。生物が進化によって、さまざまな問題をクリアーしてきたということもわかる。

その他の動物を比べることで、人間を相対的に見るような示唆的なことも書かれている。好きな歌の歌詞に「野生を忘れると、世界が狭くなってしまう」とあるが、世界を覆いつくした人間という動物を折に触れて相対的に見ないとダメだなぁ~と思った。まあ、その人間にも、世界の片隅で細々と生きる日がいつか来るのであろう。

李歐

1999 講談社 高村 薫

 

母が家を出た日から、一彰は何も感じないままに生きてきた。事件に巻き込まれた一彰は一人の男に出会い、自分の中に歓喜が流れ込むのを感じた。彼の名前は李歐。李歐に翻弄されると共に、人生の喜びを見出していく男の半生。

濃厚で壮大な日本の裏社会をテーマにした物語。「惚れたって言えよ」という李歐は男も惚れるような個性を放っている。中国語や漢詩もたびたび登場して、殺伐としたストーリーに美しい彩を添える。大陸への憧れを新たにした。

カルタゴ―消えた商人の帝国

社会思想社 服部 伸六

 

カルタゴの誕生、滅亡の歴史から、政治、文化、宗教、美術が書かれている。最後にカルタゴの教訓として、著者の意見が書かれている。

たまたま図書館で目に付いたので借りてしまった。勝者の歴史ではカルタゴの異質な文化は異様なものに描かれているが、はたして異様なものだったのだろうか。最後の3年の抵抗はすごい。民主的な政治をローマが脅威に感じたという説も面白い。やっぱりハンニバルは好きな偉人。北アフリカから地中海を見てみたいや。

フロイトからユングへ―無意識の世界

1999 日本放送出版協会 鈴木 晶

 

フロイトとユングの理論を半分づつ解説している本。平易な文章で論文チックでもなく読みやすい。二人の人生と世界の状況なども合わせて解説されている。出典や著作の索引もあるので、次に読む本を探しやすいと思う。

フロイトの心理学が問題の解決を目的としているのであれば、ユングは自分の内面と向き合うことで自分の将来を考えていくという、目的が違っているところが面白い。また、フロイトやユングの提唱した理論によって、著者が彼ら自身を分析しているのも面白かった。

あとフロイトが行ったレオナルド・ダ・ビンチやドストエフスキーなどの分析ものっていたので興味深かった。ドストエフスキーはギャンブル狂だったそうな…。ギャンブルしたいがために名作が次々と生まれた??

日本人にはユングが人気が高いらしい。ゴッホとかも日本人に特に人気があるみたいだから国民性とかってあるのかな?日本人は抽象的なものが好きだと思う。

そういえば、ユングはグノーシス派に傾倒していたらしい。最近よく耳にするグノーシス派。まあ、よく聞くようになるってのは、外界が変化しているわけではなくて、自分の脳がそれを捕らえて記憶に残すようになったので内面の変化。(←ちょっと自己分析)外界が変化しているように見えて内面が変化していることってよくある。つまり世界とは意識の中に広がっている。(←ちょっと宗教)

パッチギ ! スタンダード・エディション

2005 井筒和幸 塩谷瞬, 塩谷瞬, 高岡蒼佑, 沢尻エリカ

 

京都にある朝鮮学校と、対立する日本人学校。康介はひょんなことから、朝鮮学校の番長の妹のキョンジャに一目ぼれをする。康介は二人の間に横たわる歴史や文化の壁を越えようと奮闘するが、韓国人の中にある根深い感情に戸惑う。60年代を舞台にした青春、ロミオとジュリエット。

2シーン目がよかった。不良?の悪いことをするときの表情が最高。撮影がかなりイイのではないか。暴力シーンだらけだが見てて本当に痛い。在日韓国人をテーマにしているのはすごくイイと思った。京都弁とハングルが混在しているのも良い。

しかし(気持ちはわかるけど)説教臭さは何とかならなかったのだろうか。あと最後に向かって複数の話が重なりあっていくが、ちょっとゴチャゴチャ。ウエストサイドストーリーみたいにうまく絡まっていない。って比べるのは酷だけど。

沢尻エリカはかわいい。性格悪いとか聞いたけど、あの実力なら、まあいいか。って何が。