1999 講談社 高村 薫
母が家を出た日から、一彰は何も感じないままに生きてきた。事件に巻き込まれた一彰は一人の男に出会い、自分の中に歓喜が流れ込むのを感じた。彼の名前は李歐。李歐に翻弄されると共に、人生の喜びを見出していく男の半生。
濃厚で壮大な日本の裏社会をテーマにした物語。「惚れたって言えよ」という李歐は男も惚れるような個性を放っている。中国語や漢詩もたびたび登場して、殺伐としたストーリーに美しい彩を添える。大陸への憧れを新たにした。
1999 講談社 高村 薫
母が家を出た日から、一彰は何も感じないままに生きてきた。事件に巻き込まれた一彰は一人の男に出会い、自分の中に歓喜が流れ込むのを感じた。彼の名前は李歐。李歐に翻弄されると共に、人生の喜びを見出していく男の半生。
濃厚で壮大な日本の裏社会をテーマにした物語。「惚れたって言えよ」という李歐は男も惚れるような個性を放っている。中国語や漢詩もたびたび登場して、殺伐としたストーリーに美しい彩を添える。大陸への憧れを新たにした。
2006 チャールズ・チャップリン
チャップリンが花を売る盲目の女性に出会う。笑いを散りばめた心に響くスーパークラシック作品。
ドリフ?というようなお笑いの基本を押さえながら、骨子のあるストーリー。最後は涙が出てしまった…。吉本新喜劇?とかはこういうのをベースにしているのかな。いずれにしてもチャップリンの映画は見ておいた方が良いのだろうな…。
2005 塚本晋也 浅野忠信, 浅野忠信, 柄本奈美, KIKI, 岸部一徳, 國村隼, 串田和美
記憶を失った博史。医学書に興味を持って医学を目指す。そこで解剖の授業で解剖することになったのはいっしょに事故にあった恋人であることに気づく。そのうち別の世界で恋人に会えるようになる。
解剖という切り口で恋愛などを絡めていくという奇異な状況だが、すごいよかった。散文的でときに前衛的な映像も美しいし、数少ない台詞も心に響いた。
酔っ払ってたのか、1時間しか寝ていなかったからなのか、タイミングがあったのか、どっぷりといっちゃって、生きるとか死ぬとか、出会うとか別れるとか考えた。自分に笑いかけてくれる人が、自分が、死ぬ存在だということをよく忘れる。二度と再び人生が交わることのない、あの人にかけた最後の言葉はなんだったか。笑顔だったか。泣いていたか。最高の時間を共有できたか。何か与えることができていたか。自分はベストを尽くしていたか。笑顔はいつかなくなるんだ。笑顔はいつか消えるんだ。って酔っ払ってるなぁ~www
2003 田辺誠一 大塚寧々
『LIFE』『ん』『や』『No where』田辺誠一氏によるショートムービーのオムニバス。
LIFEはメッセージ性が強く、映像的には実験的な作品。ん、やは言葉をテーマにした作品。No whereは自分探し。No where->今はここ、ってのがオサレ。全体的に移動撮影が特徴的なのかな。つぐみさんも出てた。
この人って、こんな世界をもっていたのか!と驚いた。インタビューでの田辺氏は目をギラギラさせて、作品を雄弁に語っていてのが印象的だった。田辺氏の解説を聞いた後にLIFEを再び見た。その後もLIFEなど何気に何回か見てしまったので、好きなのかもしれない。
社会思想社 服部 伸六
カルタゴの誕生、滅亡の歴史から、政治、文化、宗教、美術が書かれている。最後にカルタゴの教訓として、著者の意見が書かれている。
たまたま図書館で目に付いたので借りてしまった。勝者の歴史ではカルタゴの異質な文化は異様なものに描かれているが、はたして異様なものだったのだろうか。最後の3年の抵抗はすごい。民主的な政治をローマが脅威に感じたという説も面白い。やっぱりハンニバルは好きな偉人。北アフリカから地中海を見てみたいや。
1999 日本放送出版協会 鈴木 晶
フロイトとユングの理論を半分づつ解説している本。平易な文章で論文チックでもなく読みやすい。二人の人生と世界の状況なども合わせて解説されている。出典や著作の索引もあるので、次に読む本を探しやすいと思う。
フロイトの心理学が問題の解決を目的としているのであれば、ユングは自分の内面と向き合うことで自分の将来を考えていくという、目的が違っているところが面白い。また、フロイトやユングの提唱した理論によって、著者が彼ら自身を分析しているのも面白かった。
あとフロイトが行ったレオナルド・ダ・ビンチやドストエフスキーなどの分析ものっていたので興味深かった。ドストエフスキーはギャンブル狂だったそうな…。ギャンブルしたいがために名作が次々と生まれた??
日本人にはユングが人気が高いらしい。ゴッホとかも日本人に特に人気があるみたいだから国民性とかってあるのかな?日本人は抽象的なものが好きだと思う。
そういえば、ユングはグノーシス派に傾倒していたらしい。最近よく耳にするグノーシス派。まあ、よく聞くようになるってのは、外界が変化しているわけではなくて、自分の脳がそれを捕らえて記憶に残すようになったので内面の変化。(←ちょっと自己分析)外界が変化しているように見えて内面が変化していることってよくある。つまり世界とは意識の中に広がっている。(←ちょっと宗教)
2005 井筒和幸 塩谷瞬, 塩谷瞬, 高岡蒼佑, 沢尻エリカ
京都にある朝鮮学校と、対立する日本人学校。康介はひょんなことから、朝鮮学校の番長の妹のキョンジャに一目ぼれをする。康介は二人の間に横たわる歴史や文化の壁を越えようと奮闘するが、韓国人の中にある根深い感情に戸惑う。60年代を舞台にした青春、ロミオとジュリエット。
2シーン目がよかった。不良?の悪いことをするときの表情が最高。撮影がかなりイイのではないか。暴力シーンだらけだが見てて本当に痛い。在日韓国人をテーマにしているのはすごくイイと思った。京都弁とハングルが混在しているのも良い。
しかし(気持ちはわかるけど)説教臭さは何とかならなかったのだろうか。あと最後に向かって複数の話が重なりあっていくが、ちょっとゴチャゴチャ。ウエストサイドストーリーみたいにうまく絡まっていない。って比べるのは酷だけど。
沢尻エリカはかわいい。性格悪いとか聞いたけど、あの実力なら、まあいいか。って何が。
2000 角川春樹事務所 角田 光代
典子と吉元は吉元の新しい部屋を探しに行く。吉元は菊葉荘を気に入ったが、あいにく空室がなかった。職にあぶれていた典子は、菊葉荘の住人を追い出す作戦を開始する。極度にセパレートされた都会人の生活にスポットをあてた作品。
角田さんはテレビで何度か見たことがあった。「小説家であり続けるために小説を書いている」と言っていたのが印象的だった。読んでみると、期待したとおりの作品だった。ふわっとして、ストーリーはとりとめがない。けれど、じんわりと痛快で、テーマがしっかりあり、現代人の空虚感にズバッと切れ込んでいく。もっと他の作品も読まないとダメですね。
2000 文芸春秋 山本 文緒
「生まれ変わるなら、面倒なセックスをしないで増えるプラナリアになりたい」
乳がんで乳房を切除し、ときどきそれを話題にして場を白けさせる自称「社会不適応者」の“ヒヨッチ”。離婚してヤル気が起きず「暇」を持て余しているプーの泉水。子どもに対して母親としての自然な感情が起きず、怒れば良いのか許せば良いのかがわからない加藤。セックスしなくて良いカレシが心地よくベストパートナーだと思っているのだけど結婚には踏み切れない美都。脱サラしてお店をもったが、奔放なスミ江を持て余す“マジオ”。。。ゲンダイの人が抱えている微妙な感情を描き出す5つの短編。
始めの4つの感想は「鈍痛」、、、「うーん」と思って最後の短編を読むと、赤子の手をひねるように泣かされてしまった。山本文緒さんは2冊目だけど、すでに山本ワールドにシンクロできるようになってしまった。カブトガニに生まれ変わりたいとか言っている自分も同じ系統なのか?!もっと読みたい。。。
2003 角川書店 重松 清
海沿いの米どころ。そこには「浜」と「沖」、2つの地域があった。「浜」の人は干拓地に新たに移り住んだ「沖」の住人をさげずむ。そんなふるさとで育ったシュウジには、成績もよく両親の期待を一身に受ける兄、シュウイチがいた。シュウイチもまた「沖」をことあるごとにけなす一人だった。シュウイチは家では絶対的な存在だった。そしてシュウジはシュウイチから隠れた暴力を受けるようになる。しかし、このころはまだ幸せだったのだ。。。。ゆっくりとナイフを腹に突き刺されるような痛み。読むのだったら覚悟が必要です。
テーマは「カナリア」と同じ「他者とのつながり」。物語の悲惨さは「リリイシュシュのすべて」の100倍。一気に読んでいたら吐いていたかも。精神がなんとか最後まで持ちこたえたが、ズタボロといった感じ。聖書が出てくる。しかし聖書では救えないほどの状態。救いがない。はっきり言ってお勧めしません。どういう人が読むのがよいのだろうか…。逆にいうと、、、幸せな人は読んではいけません。不幸な人も読んではいけません。いじめられている人も読んではいけません。精神にダメージを抱えている人も読んではいけません。