疾走

2003 角川書店 重松 清

 

海沿いの米どころ。そこには「浜」と「沖」、2つの地域があった。「浜」の人は干拓地に新たに移り住んだ「沖」の住人をさげずむ。そんなふるさとで育ったシュウジには、成績もよく両親の期待を一身に受ける兄、シュウイチがいた。シュウイチもまた「沖」をことあるごとにけなす一人だった。シュウイチは家では絶対的な存在だった。そしてシュウジはシュウイチから隠れた暴力を受けるようになる。しかし、このころはまだ幸せだったのだ。。。。ゆっくりとナイフを腹に突き刺されるような痛み。読むのだったら覚悟が必要です。

テーマは「カナリア」と同じ「他者とのつながり」。物語の悲惨さは「リリイシュシュのすべて」の100倍。一気に読んでいたら吐いていたかも。精神がなんとか最後まで持ちこたえたが、ズタボロといった感じ。聖書が出てくる。しかし聖書では救えないほどの状態。救いがない。はっきり言ってお勧めしません。どういう人が読むのがよいのだろうか…。逆にいうと、、、幸せな人は読んではいけません。不幸な人も読んではいけません。いじめられている人も読んではいけません。精神にダメージを抱えている人も読んではいけません。

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