火火

2006 高橋伴明 田中裕子, 田中裕子, 窪塚俊介, 黒沢あすか, 池脇千鶴, 遠山景織子

2006 高橋伴明 田中裕子, 田中裕子, 窪塚俊介, 黒沢あすか, 池脇千鶴, 遠山景織子

 

神山清子は陶芸にのめりこむあまりに同じ陶芸家の旦那にも逃げられるが、ついに昔の信楽焼を再現させるに至り、それまでなかった「女性陶芸家」の地位を確立する。息子は陶芸の道に進みかけるが、白血病を発病する。それから清子は骨髄バンクの立ち上げに奔走することになる。強い個性を映像化した真実の物語。

池脇千鶴が出ていたのはラッキーだった。演技も大好きな感じ。たとえるなら、同年代の役者さんよりも上に下に2オクターブ幅広い演技と、12音階に収まらない48音階くらいの“ドの1/8度上の音”みたいなものを出している感じ。しかししかし、それが霞むほど、田中裕子さんはスゴすぎる。圧倒的である。ストーリーはちょっとブナンともいえない感じだが、田中裕子さん一人でスゴイ作品になったのではないだろうか。

陶芸品は美しい。涙が出るものもある。人が少なくて静かなのも好きで、渋谷の静嘉堂文庫美術館にもちょろちょろ通っていた。韓国の青磁のふるさとにも行って来た。人間が完全にはコントロールできない火が作り出す質感は神秘を感じる。美しい陶器をもっともっと見てみたい。

テーマが陶芸かと思いきや、それと同じくらいの割合で白血病だった。「世界の…」よりもリアルに描かれているので、その辺もお勧めである。“昔、骨髄バンクは存在しなかった”という当たり前の事実が驚きである。ドナー登録はぜひしましょう。

街の灯

2006 チャールズ・チャップリン

 

チャップリンが花を売る盲目の女性に出会う。笑いを散りばめた心に響くスーパークラシック作品。

ドリフ?というようなお笑いの基本を押さえながら、骨子のあるストーリー。最後は涙が出てしまった…。吉本新喜劇?とかはこういうのをベースにしているのかな。いずれにしてもチャップリンの映画は見ておいた方が良いのだろうな…。

ヴィタール スタンダード・エディション

2005 塚本晋也 浅野忠信, 浅野忠信, 柄本奈美, KIKI, 岸部一徳, 國村隼, 串田和美

 

記憶を失った博史。医学書に興味を持って医学を目指す。そこで解剖の授業で解剖することになったのはいっしょに事故にあった恋人であることに気づく。そのうち別の世界で恋人に会えるようになる。

解剖という切り口で恋愛などを絡めていくという奇異な状況だが、すごいよかった。散文的でときに前衛的な映像も美しいし、数少ない台詞も心に響いた。

酔っ払ってたのか、1時間しか寝ていなかったからなのか、タイミングがあったのか、どっぷりといっちゃって、生きるとか死ぬとか、出会うとか別れるとか考えた。自分に笑いかけてくれる人が、自分が、死ぬ存在だということをよく忘れる。二度と再び人生が交わることのない、あの人にかけた最後の言葉はなんだったか。笑顔だったか。泣いていたか。最高の時間を共有できたか。何か与えることができていたか。自分はベストを尽くしていたか。笑顔はいつかなくなるんだ。笑顔はいつか消えるんだ。って酔っ払ってるなぁ~www

バーバー吉野 スペシャル・エディション

2004

 

その町の少年は「吉野がり」というぼっちゃんがりにする風習があった。子供たちは町に1軒しかない「バーバー吉野」の女主人は伝統を愛し、朝、学校に登校する子供たちの髪型をチェックするのが、日課であった。しかし、そこにカッコよい髪型をした男子が転校してくる。そこから始まる少年たちの物語。

牧歌的な情景。そこには足りないものがないくらいの平和が、美しくソツなく描かれている。全体的に完成度がかなり高いのではないだろうか。

もたいさんは最高だったのだけど、物語にはどこかパンチが足りない。スタンドバイミーのような少年のかかえる葛藤がなかったのだろうか…。カナリアの男の子をまた見れたのがよかった。

アラバマ物語

2006 ロバート・マリガン グレゴリー・ペック, グレゴリー・ペック, メアリー・バダム, フィリップ・アルフォード, ロバート・デュバル

 

1930年代、アメリカ南部のアラバマ州の小さな町。男やもめの弁護士、アティカス・フィンチは息子ジェムとその妹スカウトと平和に暮らしていた。近くの家には“ブー”と呼ばれる怪物のような男が住んでいると、恐れられている。兄弟は家にこもりきりの“ブー”を恐れると共に、さまざまな想像をめぐらせている。あるとき、アティカスは罪に問われている黒人の弁護を引き受けることになる。それは一家を危険にさらす結果になってしまう。黒人差別があたり前の地域ならでは出来事だ。ストーリーも重要だけど、子供の純粋な視点や感受性など見逃せないシーンがちりばめられている。これは間違いなく不朽の名作!!見てない人はぜひ見てほしい。

10年くらい前に見て、ひどく感動したが、再び見たくなった。大好きな大好きな映画の1つだ。人間の汚さや社会の不完全が、人間の高潔さともにバランスよく描かれている。ノーブルという形容がふさわしいアティカスのゆるぎないフラットな考え方と正義感は好き。子役もすばらしいし、特に妹のスカウトの表情や仕草は好きだ。

今回改めて見ると、父を救うためにスカウトが熱弁を振るうシーンを好きになった。以前に見て一番心に残ったのは、友達を家に招いてステーキを振舞うシーン。友達がステーキにシロップをたっぷりかけるが、それをたしなめたスカウトが叱られる。それがアメリカだからなのか?アティカスの教育方針なのか?「お客様の食べ方に文句をつけてはいけない」という多様性を許容させる教育には驚いた。多様性といえば、アメリカではアフリカンアメリカンの血が入った大統領が生まれるかもしれない。日本はエスタブリッシュのおぼっちゃま首相。琉球人かアイヌ人か在日朝鮮人の血でもそろそろ入れた方がいいんじゃない?あ、マタヨシさんはパス。付録である人が「企業化したアメリカでアティカスのように自分の信念を貫くためには“アティカス社”が必要だ」と言っていたのはうなづけた。

それにしても父親をファーストネームで呼ばせるというのは憧れるなぁ~。アティカスは自分の中では永遠のヒーローだ。クラーク・ケントを彷彿とさせるお父さん。え?ローマの休日の人?!そかそか。しかし恥ずかしながら、「ものまね鳥を殺すには」という原題をしらなかった。原作も読んでみたい。

ライフ・イズ・ジャーニー

2003 田辺誠一 大塚寧々

 

『LIFE』『ん』『や』『No where』田辺誠一氏によるショートムービーのオムニバス。

LIFEはメッセージ性が強く、映像的には実験的な作品。ん、やは言葉をテーマにした作品。No whereは自分探し。No where->今はここ、ってのがオサレ。全体的に移動撮影が特徴的なのかな。つぐみさんも出てた。

この人って、こんな世界をもっていたのか!と驚いた。インタビューでの田辺氏は目をギラギラさせて、作品を雄弁に語っていてのが印象的だった。田辺氏の解説を聞いた後にLIFEを再び見た。その後もLIFEなど何気に何回か見てしまったので、好きなのかもしれない。

ある愛の詩

2006 アーサー・ヒラー アリ・マックグロー, アリ・マックグロー, ライアン・オニール

 

「愛とは決して後悔しないこと」

オリバーは代々ハーバード大学出身という大富豪の御曹司。彼は美しいジェニファーに出会う。ジェニファーは普通の家。オリバーは父親の反対を押し切り結婚する。父と袂をわかち、オリバーは援助を受けずに大学院に進むため、ジェニファーが働き家計を支える。オリバーは晴れて法律事務所に勤務することになるが、、、。テーマ曲が有名な愛の抒情詩。

ヒロインが主人公の家に行くときのシーンが面白かった。あれは女性にとっては嬉しいのだろうか…。学歴社会のアメリゴでは旦那の勉強のために妻が働くというのがあると聞いたことがあるが、こんな感じなのだろうか。ストーリー自体はシンプルすぎて、ひっかかってこないかな…。

ZOO

2005

 

乙一氏の小説を映画がしたもの(…らしい)
『カザリとヨーコ』
『Seven Rooms』
『SO-Far』
『陽だまりの詩』
『ZOO』
(↑他の人のレビューのコピペ)

自分を愛せない(だろう)母親の娘への虐待を描いた『カザリとヨーコ』と、人間が滅びた後の牧歌的な世界をCGで描いた『陽だまりの詩』がストーリー的にも映像センス的にも好き。あ、陽だまりの詩は挿入歌がカッコイイんだ。散文的で透明感のある旋律。調べよう。タイトルバックとかのセンスはすごいものがあるけど、特にお勧めはしません。

コンセント

2004 中原俊

 

兄が餓死でなくなる。兄は精神病だった。大学で心理学を学んでいたユキは兄の死の真相を知るために行動を起こす。それは自分の過去を清算することでもあった。ホラー的要素もある物語。

うむ?撮影がいまいちなのかな…。技術はよかったかな。全体的には微妙だった。

田口ランディさんの作品は読んだことがない。MSNが始ったころにはコラムを楽しく読んでいた。あのころのMSNのコラムは楽しかった…。ユングが出てきたのは田口さんのコラムだったが、すっかり忘れていた。前の本でもユングが出てきたから、これは勉強しろ、ということだな。

ビルマの竪琴

2001 市川崑 中井貴一, 中井貴一, 石坂浩二, 川谷拓三, 渡辺篤, 小林稔侍, 浜村純

 

終戦直前のビルマ。水島が所属している小隊は物資も尽きてタイに逃げ延びようとしている。精魂が尽きている小隊を元気づけようと元音楽教師の隊長は隊員に歌を教えている。水島は自分で作ったビルマ風の竪琴でその歌に伴奏をつける。小隊はタイの国境直前で日本の降伏を知り、小隊も降伏する。

その後、イギリス軍の要請で水島のみ近隣で抵抗を続けている日本軍の降伏の説得に行き、小隊の他の者は800キロ離れたウドンという土地にある捕虜収容所に徒歩で移動する。全員残らず日本に帰したいと願う隊長は水島に任務終了後には必ずウドンに来いと言う。水島は結局、説得できずに、そこの日本軍は最後まで戦うことになり、水島は戦いに巻き込まれるが運良く生き延びる。

僧侶に扮した水島はウドンに向かって歩き始める。しかし、その途中には、いくつもの野ざらしにされた日本兵の屍を見る。水島は屍に目をそむけて逃げるように走りさるが…。戦後のアジアを舞台にした熱い熱い人間のドラマ。

久しぶりに泣き度が高い作品だった。たぶん泣きポイントではない初めの盛り上りですら泣いてしまった。大人のための童話と監督が言っていたが、原作はもっとファンタジーっぽいということ。けれど、映画はリアルな部分もあわせ持っていて、心がえぐられる。セルフリメイクの作品でカラーで撮りなおした作品ということだった。キャストも良いし、おばあちゃんの役の人は天才的だった。

とりあえず首相は靖国神社とかの施設じゃなくて、海外行って祈ってきやがれ!と思った。とは言うものの、以前は自分の旅のテーマの一つだったのにすっかり忘れていた。いずれにしろ日本人だったら一度は見たほうが良いと思う。