1999 岩波書店 金谷 治
君子は器ならず
「大学」「中庸」「孟子」にならぶ、中華圏(日本も含む?)の古典。
孔子は社会秩序を維持するための形式的な「礼」を強調している人だと思っていた。けれど、楽器に感動して音楽に没入したり、愛弟子が亡くなって悲しんだり、仁(愛すること、慈愛?)を強調したり、気さくな人だからこそ長く読み継がれているのだろう。
子の曰わく、素食を食い水を飲み、肘を曲げてこれを枕とす。楽しみ亦た其の中に在り。不義にして富み且つ貴きは、我れに於いて浮雲の如し。
1999 岩波書店 金谷 治
君子は器ならず
「大学」「中庸」「孟子」にならぶ、中華圏(日本も含む?)の古典。
孔子は社会秩序を維持するための形式的な「礼」を強調している人だと思っていた。けれど、楽器に感動して音楽に没入したり、愛弟子が亡くなって悲しんだり、仁(愛すること、慈愛?)を強調したり、気さくな人だからこそ長く読み継がれているのだろう。
子の曰わく、素食を食い水を飲み、肘を曲げてこれを枕とす。楽しみ亦た其の中に在り。不義にして富み且つ貴きは、我れに於いて浮雲の如し。
講談社 直木 孝次郎
古事記や日本書紀は、自然に民衆に語り継がれているような「神話」ではなく、政治的意図などが含まれた文章であると分析した書籍。またその記述にあわせるために天皇陵が作られたりしたという。
1988 岩波書店 マックス ヴェーバー, 大塚 久雄
この秩序界(コスモス)は現在、圧倒的な力をもって、その機構の中に入り込んでくる一切の諸個人-直接経済的営利にたずさわる人々だけではなく-の生活のスタイルを決定しているし、おそらく将来も、化石化した燃料の最期の一片が燃えつきるまで決定し続けるだろう。
資本主義の黎明期に資本主義を加速した反営利的な積極的な禁欲的なプロテスタンティズムについての分析。
宗教の書籍も当然、読みたい。次の山だ。
2003 飛鳥新社 天外 伺朗, 衛藤 信之
「人間が命の糸を編んでいるのではない。人間はその中の一本の繊維にすぎない」
古来の価値観を守って生きているインディアンを取材し、インディアンの世界観を噛み砕いて説明する。そこからバランスが崩れた現代の資本主義社会が置いていった価値を省みる。パイプセレモニー、サンダンスなどの伝統文化も紹介されている。
イロコイ五部族に伝わる、氷河期から紀元前1000年くらいまでを歌い継いでいる「一万年の旅路」という歌はぜひ知りたい。中国系アメリカ人の犯罪率が低いという話も面白かった。ウィルパーのいわゆる西洋文化に根ざした理論でインディアン文化を分析するのは変である。同化政策などの悲惨な歴史にも触れていて良かった。しかし衛藤先生の壮絶な幼少体験を乗り越えて生きている姿が一番印象的だったかもしれない。
明石書店 亜洲奈 みづほ
国際関係、政治、経済、社会、文化、芸術に分かれた60章で現代台湾を様々な角度から分析した本。
日本、台湾、どちらにおもねることなく語られていて、程よいバランスが心地よかった。4台エスニックグループ-ビンナン系、客家、先住民、と大陸系の移住者-を抱える他民族国家の台湾が、民族的政治的に根本的にアイデンティティの問題を抱えているというのは興味深かった。先住民のために選挙によらない8/225議席を与えられているという先進的な民主主義があったのはショックだった。別の本によると12民族、37方言があるそうだ。政治についても語られていて良かった。もっと整理して勉強が必要なことを感じた。サヨナラ・再会という映画はみたい。
2007 青春出版社 安保 徹
タミフルの効果は発熱期間を1日短縮するだけ!で、副作用が多いというところから薬の害悪を語り始め、健康法、癌の治療にまで免疫力の見地から分析する。薬いくない!自然治癒!笑う!運動!お風呂!食事!寝る!
縄文食で玄米が出てきたけど、縄文時代に米を食べてたっけ??サプリメントはたくさん発売されているから効くんだ!とか結論していて、ちょっと疑問点があったけど、概ね当たり障りの無くトレンドを捕らえているという印象。まあ、科学的なところを読んで、それ以外は読まなくても良い感じ。
1999 Allyn & Bacon
“Vigorous writing is concise. A sentence should contain no unnecessary words, a paragraph no unnecessary sentences, for the same reason that a drawing should have no unnecessary lines and a machine no unnecessary parts.
This requires not that the writer make all sentences short or avoid all detail and treat subjects only in outline, but that every word tell.”
E.B. White は大学で William Strunk Jr. の Writing の授業をとっていた。Professor Strunk は授業の中で “Omit needless words!” とまくし立てるような変わった人だったが、英語の Writing に関して一貫したスタイルを持っていた。その授業では Professor Strunk .が “the little book” と呼ばれていた自作のテキストを使っていた。この本は E.B.White がその “the little book” を改定したが100ページほどの依然littleな本である。英語のライティングのクラシック(らしい)。
1. Elementary rules of usage
2. Elementary principles of composition
3. A few matters of form
4. Words and expressions commonly misused
5. An approach to style
決して英語そのものが簡潔で一意なわけではなく、英語で一般的に書かれている”スタイル”が簡潔で一意なことが分かった。
Martha Faulk, Irving M. Mehler Longman 1996年5月1日
Elements of Styleに着想を得たビジネスのためのライティングの本。
1. Principles of Composition
2. Principles of Organization
3. Principles of Wording and Phrasing
4. Principles of Tone
5. Principles of Persuasion
6. Principles of Punctuation Grammar, Abbreviation, Capitalization, and Spelling
7. Principles of Format
Elements of Styleとかぶっている部分もあったけど、スタイルを超えて内容まで踏み込んでいる。より読みやすかったように思った。
「すべての体系はその創始者が展開し、提示する段階において必ず誤りがあること、そしてそれはなぜかということを理解しなければうまく行かない」
「この理論がラディカルであったのは、自らの全能と全知に対する人間の信念の最後のとりで、すなわち人間経験の究極的データとしての意識的思考に対する信念を、それが攻撃したからである。ガリレオは人間から、自分たちの地球が宇宙の中心であるという幻想を奪った。ダーウィンは人間が神によって創造されたという幻想を奪った。しかし、意識的思考が人間の依存しうる最後のデータであることは、だれも疑わなかった。フロイトは人間から自らの合理性に対する誇りを奪った。」
社会学者エーリッヒ・フロムがフロイトの成果を再評価する。フロイトは何を間違えたために誤解されたのか。フロイトが囚われていたものを取り除き、本当に発見したものを丹念に検証していく。その中からフロイトの科学的な姿勢なども明らかになっていく。
フロイトを好きではなかったが、フロムが語るフロイトを読むと、大きなパラダイムシフトをもたらした人だったと感じた。しかし、それを結論するフロムは素晴らしい。フロムが語る科学については感動したので、引用したい。
「選択した事実、実験、そして結果の確かさの単純な連続を科学であるとするこの概念は、もう時代遅れである。そして今日の真の科学者は、物理学者であれ、生物学者であれ、化学者であれ、天文学者であれ、科学的方法についてのこの種の原始的な概念をとうの昔に捨てているのは、意味深いことである。
社会科学における今日の創造的科学者を疑似科学者から区別するものは、理性の能力に対する信念であり、人間の理性と人間の想像力は現象の欺瞞的な表面を貫いて、表面ではなく底に流れる力を扱う仮説に到達しうるという信念である。肝心なこと、彼らは決して確実さを期待しないということである。彼らのすべての仮説は他の仮説に取って代わられるが、第二の仮説は必ずしも第一の仮説を否定するものではなく、それを修正し、拡大するものであることを知っているのである。
科学者がこの不確実さに耐えられるのはまさに人間の理性に対する信念があるからである。彼にとって重要なことは結論に達することではなく、その幻想度合いを減らし、より深い根源まで洞察することである。科学者は誤りを犯すことさえ恐れない。彼は科学の歴史は、誤ってはいても生産的で含蓄深い所説の歴史であって、そこから新しい洞察が生まれて、古い所説の相対的な誤りを克服し、さらに新しい洞察を生むものであることを、知っている。」
よくよく考えると、デカルトが定義した科学も「間違えに負けず、確かさに近づいていく」という考え方が主だったものだった気もしてくる。
シュレーディンガー 岩波書店 2008年5月16日
物理学者のシュレディンガーが分野を超えて、物理学の見地から生物を語り、分子生物学の生みの親となった。
「生物と無生物のあいだ」に書かれていたことが、書いてあった。驚くのがまだDNAの存在が確認されていないときに書かれたということだ。