フラワー・オブ・ライフ 4 (4)

2007 新書館 よしなが ふみ

 

白血病だったため1年1ヶ月遅れで入学してきた花園春太郎。ぬいぐるみのようなかわいさを持つ三国君。アニメ漫画萌え系キャラ大好きオタクなでかい高校生、真島。大河少女漫画を描く武田さんを加えて、漫画を描き始める。学園青春ストーリー、、、ではとても括りきれない人生をテーマにした作品。

素晴らしかった。テクニックもストーリーもテーマも。

にあんちゃん 十歳の少女の日記

2003 西日本新聞社 安本 末子

 

戦後間もない昭和28年。幼くして父母と死に別れて、兄弟四人で暮らしていく様子が描かれている小学生の末子の日記。

父が「にあんちゃんのころは・・・」とよく言っていた。その日記が復刻されているのを知って買ってみた。素直な感性に涙が出ることたびたびだった。「くつがなくて修学旅行に行けない」「茶碗が家に一つしかないから、お客さんを呼べない」など、想像を絶している。恵まれすぎている自分が憎らしくなるくらいだ。

百万円と苦虫女

ポニーキャニオン 2009年2月4日

 

短大を卒業して就職もできずに、しかたなくアルバイト生活を送っているどこにでもいる鈴子。どうにかしてこの生活を変えようと考えている中、事件に巻き込まれてしまう。そして逃げるように、百万円を貯めるたびに次から次へと引越しをする生活をはじめる。

何気に重いし、意外によかった。蒼井優の見たことのない表情がいくつかあったので驚いたが、いかんせんやせすぎだ。

日本語が亡びるとき―英語の世紀の中で

水村 美苗 筑摩書房 2008年11月

 

英語などの<普遍語>と<国語>の非対称性。”主要な文学としての日本文学”<普遍語>を使った書き言葉と、話し言葉の違い。翻訳者、二重言語者の果たした役割。明治時代の西洋の影響、国家をあげた翻訳。日本文学への西洋文学の大きな影響。日本文学が成立しえた条件(成熟した書き言葉、印刷資本主義、植民地にならなかったこと)。教育論と今後の展望。筆者の熱い想いを込めた日本文学論。

SKYPEで香港のタクシー運転手を生業としている人と話した。私の英語よりもかなりマシ。スリランカの書店に入ったところ、ある程度レベル以上の本はすべて英語だった。シンガポールの公園で寝ていたところ、母、娘、孫の3世代の家族が遊んでいた。娘と母は中国語、娘は孫(子)に英語で話していた。仕事でアジア人とメールを交わすが、自動翻訳では不完全で、英語がやはり使い勝手が良い。、、、と普遍語としての英語の脅威に何年も前から感じている。ただ、100年後、英語が同じ位置を占めているかは分からない。グーグルの活動をことさら強調するが、専門外の場所にグーグルが出てくる場合はたいてい話がおかしくなる。

会社にもトリリンガルの人がいるが、友達はテトラリンガル?までいる。バイリンガルもままならない自分にはほとほと呆れ果てる。学問は普遍語でするべきだ、というのはしごく最もな意見に感じた。私の父も常に日本の学会にしか論文を提出せずに成果をほかの世界の研究者にとられた過去の科学者の話をする。

福沢諭吉の猛烈な勉強生活は知らなかった。読まなくてはならない。「学問のススメ」で外国人教師を学校から追い出す、政府の杓子定規の対応を愚痴っていたが、事情を知ってしごく納得がいった。谷崎潤一郎の文章読本に「文法は必要ない」と書いてあるが、それは「英文法は必要ない」のことだということだ。近代の文学者たちは当たり前のように二重言語者だったのだろう。

書き言葉を口語化しようという文学者たちの奮闘は中村氏の文章読本に詳しい。ぜひ参照されたい。著名な作家が日本語のローマ字化のための文章を投稿しているのには驚いた。

腑抜けども、悲しみの愛をみせろ

2008

 

両親の訃報を受け、東京から山間の田舎に戻った姉・香澄。家には母の連れ子だった兄・穴道、その嫁・待子、そして内向的な妹・清深がいた。香澄は女優を目指し上京したが、自分本位な性格が災いし、女優活動も頭打ちになた折だった。そんな姉の帰省により、再び姉妹は激しくぶつかり合う。

映画としてのできは素晴らしいのではないか。カメラといい色といい脚本といい俳優たちといい。短い中に緩急つけて凝集されていて良かったと思う。佐藤江梨子はこんなに演技できる人だったんですね。内容は原作の方がいいのかな。読もうかどうしようか。

デイヴィッド・コパフィールド

1989 新潮社 C. ディケンズ, 中野 好夫

 

「いったいアグニスという女は、静かで、物音こそ立てないが、たとえどこにいようと、その証跡は、何かと快い形で、必ず現れるのだった。たとえば、帰ってきてみると、いつもあの伯母の家の客間の窓にぶら下がっていた鳥籠が、ちゃんとまたかかっているのである。また私の安楽椅子が、これも私のよりはずっと楽な伯母のそれをそのままに、きちんと開いたまどのそばに据えてある。」

デイヴィッドの半生を描いたディケンズの代表的な作品。

モーム十選の中に入っていたが、一刊目のあとがきで、「モームが主人公デイヴィッドの性格雑煮ついて、いろいろ具体的に不満な点をあげ、一貫したイメージとしての弱さを指摘していた」ようなことが書かれていて、おいおいモーム…。って思った。ストーリーも都合が良すぎる点が多々あるけど、特徴的な登場人物は面白く、4巻目の中盤で面白くなってきた。アグニスは俺の嫁。

日本人はなぜ無宗教なのか

1996 筑摩書房 阿満 利麿

 

日本人は神を信じているのになぜ無宗教と自身をいうのか?無宗教の実態、歴史などから、日本人の根本にある自然宗教を考察する。柳田国男のフィールドワークが何度も引用され、重視されている。日本人の自然宗教に気付かされる一冊。

重右衛門の最後は読んでみたい。柳田国男はまだ読んだことない。

SEX AND THE CITY [THE MOVIE] COLLECTOR’S EDITION

エイベックス・マーケティング 2009年1月23日

 

同名のTVドラマの続編としての映画。ニューヨークに住む4人の精力的な女性たちの愛と友情を描いた作品。

ドラマは2シーズンくらいしか見ていないが、映画は評判どおり良かった。個人的に好きなのはミランダのエピソード。

自虐の詩 プレミアム・エディション

2008 堤幸彦

 

幸江は、無職で甲斐性無しのイサオに尽くして、大阪で一緒に暮らしている。幸江がラーメン屋で働きながら生活を切り詰めやりくりしているというのに、イサオは賭け事ばかり。気に入らないことがあれば、ちゃぶ台をひっくり返す。ところが幸江は、イサオに惚れているのである。

漫画を読みたかったけど、とりあえず映画を見た。とにかく、よかった!