1989 新潮社 C. ディケンズ, 中野 好夫
「いったいアグニスという女は、静かで、物音こそ立てないが、たとえどこにいようと、その証跡は、何かと快い形で、必ず現れるのだった。たとえば、帰ってきてみると、いつもあの伯母の家の客間の窓にぶら下がっていた鳥籠が、ちゃんとまたかかっているのである。また私の安楽椅子が、これも私のよりはずっと楽な伯母のそれをそのままに、きちんと開いたまどのそばに据えてある。」
デイヴィッドの半生を描いたディケンズの代表的な作品。
モーム十選の中に入っていたが、一刊目のあとがきで、「モームが主人公デイヴィッドの性格雑煮ついて、いろいろ具体的に不満な点をあげ、一貫したイメージとしての弱さを指摘していた」ようなことが書かれていて、おいおいモーム…。って思った。ストーリーも都合が良すぎる点が多々あるけど、特徴的な登場人物は面白く、4巻目の中盤で面白くなってきた。アグニスは俺の嫁。