ソラニン スタンダード・エディション [DVD]

TCエンタテインメント 2010年9月3日

 

浅野いにお氏の漫画「ソラニン」の映画化。社会人2年目の芽衣子は違和感を感じながらもOLとして働いている。芽衣子と同棲中の恋人の種田も社会人生活に違和感を感じつつも、音楽をよりどころとして生活している。若者の出口の見つからない不安や違和感を描いた作品。

漫画が好きだったから見たけど、映画も良かった。一つ一つのシーンが丁寧に作られていた。一番好きな映像は花火の場面のスローかなぁ~。超綺麗。まー。回想シーンを導入しないと感動に結び付けられなかったのかなぁーというところが少し残念。よく見ると久保田修氏が参加している。また彼に泣かされてしまったのかなぁ。そうそう、高良健吾が演じる種田がすごいすごい良かった。彼はどうもスゴイ役者みたい。ファンになった。

7つの言語 7つの世界

Bruce A. Tate オーム社 2011年7月23日

 

「本書では7つの異なる言語を紹介する。といっても、母親が毎日苦い薬を飲ませるようなやり方はしない。読者の皆さんに深い洞察を与え、プログラミングに対する見方が変わるような経験をしてもらうことが目的だ。」

筆者の調査で人気があった言語から、JavaScript, Pythonをはずした7言語 – Ruby, IO, Prolog, Scala, Erlang, Clojure, Haskellを解説する。コンパクトに要所をまとめた説明で、効率的に7つの言語の特徴を捉えられる解説書。

初めの方は興味津々で読んでいたが、途中の関数型言語くらいから、実用性が?になって徐々に初めの興味が失われていってしまった。IOの一部とか、Clojure, Haskellの途中は理解せずに読み飛ばしてしまった。また時が来たら読み直そう。

「皆さんのなかには、大規模なチームの商用プロジェクトにどっぷりとつかって、創造力を発揮することなどまったくなく、ソフトウェア工場の一員として働いてきた方もいるだろう。そのような世界では、新しいプログラム言語に触れる機会など著しく限られている。喩えてみれば、小さな町の映画館で、ひたすら大ヒットした映画だけをみている1970年代の映画好きのようなものだ。」

Effective C++ 原著第3版

2006 ピアソン・エデュケーション スコット・メイヤーズ, 小林 健一郎

 

C++でプログラムを書く上での55のガイドライン。

かなり難解な分類に属する本で、読むのにかなりの時間を要した。内容はC++の奥の奥まで踏み込んでいて、知らなかったことに多く出会えた。今までまともにC++のプログラムを書いていた風に振舞っていた私はなんだったのだろうと思った。

また、その素晴らしい内容と対照的に、このような55あるガイドラインを守らないと普通に動かないC++言語の限界を感じた。やはりJavaなどに比べるとC++は成功した言語とはいえないと感じる。

潮騒

1955 新潮社 三島 由紀夫

 

伊勢湾を見渡す小さな歌島で暮らす新冶と初江の恋の物語。

内容を知らずに読んだので、何が起こるかとドキドキしていたが、普通に青春小説として終了したので驚いた。ひさしぶりに爽やかな小説を読めてうれしかった。

ぼくは勉強ができない

1996 新潮社 山田 詠美

 

「ぼくは嬉しい。久々に三人がそろった休日の午後、ぼくたちは、くつろいで、おやつを食べている。ぼくは、幸せな家族を持っている。けれど、小さい頃、人々は、ぼくを不幸な子供だと扱いたがったものだ。母親がひとりで、親と子供の面倒を見ているというだけで、ぼくは、不幸な人種として見詰められていたんだ。小学校では、母子家庭友の会などというものに入れられそうになった。しかし、その会員の子供たちが、そんなに不幸だとは思えなかったのだが。父親の不在に意味を持たせたがるのは、たいてい、完璧な家族の一員だと自覚している第三者だ。ぼくたちには、それぞれ事情があるのだし、それを一生嘆き続ける人間などいやしない。そこまで人は親に執着しないものだ。だって、親はいつかはいなくなる。それどころか、自分だって、その内、この世から、おさらばしてしまうのだ。父親がいない子供は不幸になるに決まっている、というのは、人々が何かを考えるときの基盤のひとつにしか過ぎない。」

時田秀美は17歳の高校生。正しい社会に窮屈さを覚えつつ、楽しく日常を送っている。そんな秀美の痛快な高校生活。

読みやすいのでササっと終わるし、面白いからお勧め。著者は頭がいい人だなぁーって思う。

停電の夜に

2003 新潮社 ジュンパ ラヒリ, Jhumpa Lahiri, 小川 高義

 

毎夜1時間の停電が続く夜に、隠し事を打ち明けるゲームをする夫婦を描いた「停電の夜に」を初めとする全9編。

アメリカに移住して四苦八苦しながら暮らしている「三度目で最期の大陸」が一番好き。「停電の夜に」「セクシー」も悲しく好き。「病気の通訳」はむなしく好き。「ビビ・ハルダーの治療」はうれしく好き。

生きるということ

1977 紀伊國屋書店 エーリッヒ・フロム, 佐野 哲郎

 

「メキシコで私が観察したところでは、読み書きができない人びとや、めったに字を書かない人びとは、産業化した国ぐにのすらすらと読み書きのできる人びとより、はるかにすぐれた記憶力を持っている。多くの事実の中でとりわけこの事実が示唆しているのはこうだ。読み書きの能力は決して宣伝されているほどありがたいものではなく、まして経験し想像する能力を貧困にするような材料を読むためにのみそれを使う場合は、なおさらであるということ。」

現代人の「持つ」様式と、理想の姿「ある」様式を比較、解説し、現代の文化を痛烈に批判し、新たな社会・人間を提言する。

いろいろ考えさせられる。知るということは知識を持つことではなく、「すべての覆いを剥ぎ取るもの」として説明されている。私たちの知は既成の概念で覆われている。資本主義は気づかないうちに資本主義の価値基準を人びとに埋め込んでいるのか。そうだとすると、これを剥ぎ取るのが知であろう。資本主義は資本主義を発展させる人を歓迎し、資本主義の血であるお金をより高速に回転させられる人にその血を分配する。その血をもらわない生き方はあるのか。経済って資本主義と関係ない太古の昔からあったものだから、資本主義でない経済があればいいのか。キリスト教の経済?ギルドの経済?農奴の経済?新しい価値観なんて、そう簡単にできないと思うし、やっぱりお金って一番分かりやすいから、こんなに流行っているんかなぁ。わからん。まあ何しろ種の保存が正義だろう。多様な種が生き残れる社会が存続する。