ぼくは勉強ができない

1996 新潮社 山田 詠美

 

「ぼくは嬉しい。久々に三人がそろった休日の午後、ぼくたちは、くつろいで、おやつを食べている。ぼくは、幸せな家族を持っている。けれど、小さい頃、人々は、ぼくを不幸な子供だと扱いたがったものだ。母親がひとりで、親と子供の面倒を見ているというだけで、ぼくは、不幸な人種として見詰められていたんだ。小学校では、母子家庭友の会などというものに入れられそうになった。しかし、その会員の子供たちが、そんなに不幸だとは思えなかったのだが。父親の不在に意味を持たせたがるのは、たいてい、完璧な家族の一員だと自覚している第三者だ。ぼくたちには、それぞれ事情があるのだし、それを一生嘆き続ける人間などいやしない。そこまで人は親に執着しないものだ。だって、親はいつかはいなくなる。それどころか、自分だって、その内、この世から、おさらばしてしまうのだ。父親がいない子供は不幸になるに決まっている、というのは、人々が何かを考えるときの基盤のひとつにしか過ぎない。」

時田秀美は17歳の高校生。正しい社会に窮屈さを覚えつつ、楽しく日常を送っている。そんな秀美の痛快な高校生活。

読みやすいのでササっと終わるし、面白いからお勧め。著者は頭がいい人だなぁーって思う。

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