The Notebook

Warner Books

 

“Who did she know in Raleigh who took time off to fix a house? Or read Whitman or Eliot, finding images in the mind, thoughts of the spirit? Or hunted dawn from the bow of a canoe? These weren’t the things that drove society, but she felt they shouldn’t be treated as unimportant. They made living worthwhile.”

ノアは夏祭りで会てひとときを過ごしたアリーを忘れられずにいた。ある日アリーがノアを訪ねてくる。それから数日、二人は会えなかった日々を埋めるようにすごし始めるのだが…。

急変する中国人の人生観―庶民が語る社会主義的市場経済の実際

はまの出版 2004年5月

 

25人の中国人(北京付近に在住?)が直接語る形で自身の現状や半生を語る形で中国の今(2004年)をつづってる。

垣間見える社会の仕組みと、その変化。その中で真摯に努力している人もいればそうでない人もいる。こうも変化が急だと大変だろうなぁーという感想。

戦場へ行こう!!雨宮処凛流・地球の歩き方

2004 講談社 雨宮 処凛

 

「理解不能な異形なものがあると徹底的に叩かないと気が済まないのは、自分の中のふれちゃいけない何かが脅かされるからだろうか。白装束を否定することで、彼らが守りたいものは何なのだろう。オウムを持ち出すまでもなく、ある種の物語の中にどっぷりと浸かって生きている人を目の前に突き付けられると、人は心の深い部分を脅かされるようだ。ちなみに私が心を動かされる理由は、どこかで自分も大きな物語の中で生きていたいという願望があるからだと思う。」

右とか左とかの外側にいる雨宮女史がつづる華麗な濃厚逆噴射人生のエッセイ。ブラウン管の向こう側で起こっている惨事にアグレッシブに参加していく。文章がうまく、ガサ入れ体験話は爆笑ものである。

彼女の行動を見る限り、ナウシカじゃないけど、人間は清浄な世界では生きていけないんじゃないか。雨宮さんの本はもっと読みたいなぁー。

文明の衝突と21世紀の日本

2000 集英社 サミュエル・P. ハンチントン, Samuel P. Huntington, 鈴木 主税

 

冷戦後の世界のありようを描いた「文明の衝突」のダイジェスト版みたいな書籍。終わりかけた西欧の価値観は今まで栄えては衰退した数ある文化の中の一つでしかなく、今後は文化を軸とした多極的な世界になると。CGを使った直感的な図が掲げられているのが特徴。

いつだかに買ったのでいちおうサラっと読んでおいた。意外に日本が語られていない。日本は第二次世界大戦意外は歴史的に適切と思われる強国と同盟を保ってきたので、次は誰と同盟を結ぶか?が主要な問題だ。

『答えは明確になりつつある。「口に出して公言したり、了解を示してはいないが、まだ北京が国際的にかなり孤立していた1992年に、日本の天皇が中国を訪問したのは意義深いことだ」』

天皇の方が外交をしているのはどういうことよ?君主だから?政権はコロコロと変わるから、外交は天皇がした方がいいの?もしかして歴史的に天皇が外交をしていたから日本の政治は外交が弱いの?とか思った。

ピープルウエア 第2版 - ヤル気こそプロジェクト成功の鍵

2001 日経BP社 トム・デマルコ, ティモシー・リスター, 松原 友夫, 山浦 恒央

 

ソフトウェア開発管理の名著。環境、退職の影響、チーム、プロセスなど様々なトピックについて、実際のエピソードを交えながら管理者の心構えについての書籍。

デマルコ氏の書籍は昔に一冊読んだことがあったが、これもリストにあったので読んでみた。CMMについて、批判的なのが印象的だった。やはり自尊心の問題は大きいと思った。

スーパーエンジニアへの道―技術リーダーシップの人間学

1991 共立出版 G.M. ワインバーグ, 木村 泉, 木村$

 

ワインバーグ氏が問題解決型リーダーについてエピソードを交えて示唆的に語る。動機付け、組織化、アイデアの流れの制御、などにテーマを分類している。

コンピュータ関連のバイブルをあまりにも読んでいないことが露見したので、「コンピュータの名著・古典100冊」にあった本書を読んでみた。内容を一言で語るのは無理であるが、エピソードで暗示された方法論に学ぶところは多い。何度か折にふれて読み返した方がいいかもしれない。コミュニケーションの方法論で、自分の発言にいたるすべての感情の変化を説明するというものがあったが、これはいいかも、と思った。もちろんフィルターは必要だとは思うが。

読書について 他二篇

1983 岩波書店 ショウペンハウエル, Arthur Schopenhauer, 斎藤 忍随

 

「読書で生涯をすごし、さまざまな本から知識をくみとった人は、旅行案内書をいく冊も読んで、ある土地に精通した人のようである。こういう人は報告すべき材料をいろいろ持ち合わせているが、その土地の様子についてはまとまった知識も、明瞭な基礎的知識もまったく欠いている。」

「思索」「著作」「読書について」の3部だて。読書よりも思索しろ。内容がないのに書こうとするから量増ししたような文体になる。10年後に消えるような悪書を読むな、古典を読め。

本は思想を得るだけのものじゃないから、思索とはまた別の価値があると思う。文体については保守的な気がした。たしかに美しい文体はある。だけど言葉は変化しつづけるものだ。古典を読めというのは、基本的に同意。人生は短いから歴史が評価したものは確実だ。けど現代の書籍でも100年後に残っているものがあるはず。それを読まないのはあまりにも悔しい。ともあれ、さすがにボコクソに言っているだけあって、氏の文体は理路整然としていて美しく読みやすい。古典を読んでない…。

「読書に際しての心がけとしては、読まずにすます技術が非常に重要である。その技術とは、多数の読者がそのつどむさぼり読むものに、我遅れじとばかり、手を出さないことである」

魂がふるえるとき

2004 文芸春秋 宮本 輝

 

「いい小説をよみたいのだが、宮本さんはどんな小説を進めるかと、たまに若い人から聞かれるときがある。そんなとき、私は若い人がとっつきやすく、なおかつ小説としてさまざまな深みを蔵したものを勧めるのだが、(略)最近になって、その青年の好みに合わなくても、途中で読むのを放棄しようとも、私は意に介さず、いくら勧めても読む人は読むであろうし、読まない人は読まないであろうと考えて、私の好きな小説を教えてあがればそれでいいのだと思うようになった。」

宮本先生が勧める16の日本文学の短編。

飛ばしたのもあったけど、面白いものもあった。永井荷風などの日本文学はまだまだ私には早い気がした。読んでみたかった国木田独歩の作品が入っていたが、やはり波長が合う気がした。また文語調のリズムも素晴らしいと思うに至った。