1983 岩波書店 ショウペンハウエル, Arthur Schopenhauer, 斎藤 忍随
「読書で生涯をすごし、さまざまな本から知識をくみとった人は、旅行案内書をいく冊も読んで、ある土地に精通した人のようである。こういう人は報告すべき材料をいろいろ持ち合わせているが、その土地の様子についてはまとまった知識も、明瞭な基礎的知識もまったく欠いている。」
「思索」「著作」「読書について」の3部だて。読書よりも思索しろ。内容がないのに書こうとするから量増ししたような文体になる。10年後に消えるような悪書を読むな、古典を読め。
本は思想を得るだけのものじゃないから、思索とはまた別の価値があると思う。文体については保守的な気がした。たしかに美しい文体はある。だけど言葉は変化しつづけるものだ。古典を読めというのは、基本的に同意。人生は短いから歴史が評価したものは確実だ。けど現代の書籍でも100年後に残っているものがあるはず。それを読まないのはあまりにも悔しい。ともあれ、さすがにボコクソに言っているだけあって、氏の文体は理路整然としていて美しく読みやすい。古典を読んでない…。
「読書に際しての心がけとしては、読まずにすます技術が非常に重要である。その技術とは、多数の読者がそのつどむさぼり読むものに、我遅れじとばかり、手を出さないことである」