2005 角川書店 山本 文緒
31歳の女性をテーマにした30もの短編集。
どうやって、こんなに沢山の人たちを作り出せるのだろう?と不思議。ちょっとテーマとは離れているけど「バンド」は普通にグッと来た。『「息子」「チャンネル権」「空」「当事者」が好き。どれもスゴイけど、これを読む自分に後ろめたさというか不健全さを感じる…。
2005 角川書店 山本 文緒
31歳の女性をテーマにした30もの短編集。
どうやって、こんなに沢山の人たちを作り出せるのだろう?と不思議。ちょっとテーマとは離れているけど「バンド」は普通にグッと来た。『「息子」「チャンネル権」「空」「当事者」が好き。どれもスゴイけど、これを読む自分に後ろめたさというか不健全さを感じる…。
1998 角川書店 山本 文緒
働く女性をテーマにした15の短編集。
山本節は若干影を潜めて、普通にほろりとする。エッセイの方に書いてあったが、『自分は作家ではなく、自分の仕事が作家なのだ』と。この言葉に通じるものもあった。うん、仕事で考えることがある女性にはお薦めかな?
2001 角川書店 山本 文緒
結婚をテーマにした短編集。
結婚の予定がある人は読んではダメです。
鬱になること間違いなし!!
ホラーです。きっと現実はこんなんじゃないよ。もっと幸せ一杯なんだよ。同僚に気持ち悪いスプラッター映画の冒頭を見せられたので、仕返しに「ますお」を読めと貸し出しました。
2003
美術学校に通うアンジェリクは心臓外科医のロイックと恋人関係にあった。けれど彼には妻がいた。けれどアンジェリクにとっては純粋で本気の恋。彼女は一途に思いを寄せていく。彼は離婚をほのめかすが実行の様子を見せない。一途な一途な恋の物語。
かわいい恋を予感させるポップなタイトルバック。ウキウキッ!!!ん!!あれ?!お?!!(以下略)
2002 講談社 アレックス カー, Alex Kerr
学生時代、小笠原諸島に行ったときのことである。
私は誰もいない浜に行ってみたいと地図を広げて、そこを目指した。近づいていくにしたがって予想通りに人があまりいなくなり、うれしくなってくる。しかし、浜の目前までくると、数人の土木作業員が道で作業をしている。誰もいない浜に通じる土の道は、新しいアスファルトで塗り固められようとしていた。この後、移り住みたいけど仕事が無い人が土木作業に従事しているという話を島の人に聞く。
このとき公共事業の何たるかを少しずつ理解しはじめた。
この本はアレックス氏が日本の変化を憂いて、外国向けに書いた書籍の日本版である。氏は日本で生まれ育ち日本が好きであるからこそ、日本の変化を憂いている。本の中では、以前から言われている不必要な道路やハコモノや、それを主導している勢力、教育や娯楽文化に至るまで、あらゆる面から日本を切っている。「犬と鬼」というのは「韓非子」の絵師が「描くのが難しいもの」として挙げた「犬馬は難く、鬼魅は易し」に由来する。
都知事選に立候補した黒川氏も登場する。彼がどうやって資産を築いたか。なぜ彼が出馬して、何をやりたかったのかもハッキリとわかった。X-SEED4000やそれに類するプロジェクトなどは調べてみると驚く。外れた顎が戻らない。アワアワ。
その一方で、当然、重視されるはずのことにはお金が回っていないとアレックス氏は嘆く。電柱、電線も諸外国では消えてなくなっているものらしい。また日本はそれほど狭いわけでもなく、住環境が悪いのは別の原因とのこと。
思い返すと、イタリアで知人が住んでいる団地を訪れた際、すべての窓に垂れているカーテンが同じ緑色だった。他の建物のカーテンもすべて緑色だった。また、湿度が低いという事情もあるが、洗濯物が干してある窓も一つもない。景観を重視する厳しい条例があるのだろう。ドイツ在住のいとこが住環境が良いとの話を思い出す。
自然に関しても、諸外国では自然を破壊するという理由でテトラポッドを除去したり、コンクリートで塗り固められた川を自然に戻したり、ダムが撤去されたりもしているらしい。京都議定書に関連した予算で道路も作られているという話がどこかにあった。
彼の提言の一つとしては、土木産業から観光業へのシフトだ。土木産業は日本の雇用を下支えしているもので、なくなったらどうするの?と思ってしまうが、観光業が受け皿になるというのは良い案だと思った。
いずれにしても、一度動き出したら止まらない官僚制度を誰かが止めなくてはいけないのは間違いない。最近、憲法改正に端を発した「日本の形」みたいな議論をそこここで見かけるが、それは身近で具体的な問題から目をそらすための官僚の策略じゃないの?と思ってしまう。それこそ、憲法は鬼で、年金などは犬なのかもしれない。そんな日本も幸か不幸かアメリカの衰退により変化を迫られている。通貨の統一をはじめ、中国や東南アジアとの関係をより強化していく方向に向かうだろう。それと共に大きく舵を切るのか、切れるのか。
日本を愛する者の一人として、憂慮すべき事態であるが、そんなに悲観したものではないと思ってしまうところもある。アメリカだってボロボロだし、アジアもBRICsも日本より遥かに悪いしと思ったり。しかし、実際に夕張市は破綻している。同様に危ない自治体もあると聞く。どこかで止めないと、このままでは日本はゆっくり死んでいくのだろう。
2003
女流作家アイリス・マードックの生涯を描いた書籍の映画化。奔放で才気に溢れる彼女と、晩年にアルツハイマー病によって記憶や人格を失っていく様子が、描かれている。深い愛情を描いた作品。
良い人材を結集して良いものができたという感じなのか。スキがなく、Typicalとは言わないが、期待を裏切らない。
深い愛情とは何か?やはり許し受け入れることなのか?
2003 トム・ティクヴァ ケイト・ブランシェット, ケイト・ブランシェット, ジョヴァンニ・リビージ, ステファニア・ロッカ
テロまがいの犯罪を犯した女性フィリッパが、軍の取調べを受ける。通訳を引き受けた軍のフィリッポは女性に運命的なものを感じる。彼は女性を助けようと計画する。
愛というテーマがあるものの、ストーリーと音楽は映像に添えられたものに見えてしまった。美しい。
2006 アンソニー・ミンゲラ ジュード・ロウ, ジュード・ロウ, ニコール・キッドマン, レニー・ゼルウィガー, ドナルド・サザーランド, ナタリー・ポートマン, フィリップ・シーモア・ホフマン
アメリカの南北戦争の時代。都会に暮らしていたエイダは田舎町に移り住み、インマンに出会う。無口のインマンとお嬢様のエイダはゆっくりと距離を縮めていくが、戦争によって引き裂かれる。二人は再会を夢見て歩き始めるが、、、戦争の悲劇とその中で気丈に生きる人を描いたドラマ。
戦争に対するスタンスや描き方がよかった。ハリウッド大作にしては好感が持てた。登場人物が魅力的に描かれていて、見ていて気持ちよい。賞をとっている助演のレニーさんがやはり素晴らしい。自然の描写も美しかった。
戦争になると女性も銃を撃つ必要があるのだと感じた。そういえばスカーレット(オハラ)も人を殺していた。生きるために誰かの愛する人を殺す。それが戦争なのかもしれない。
2005 ピアソン・エデュケーション アラン・シャロウェイ, ジェームズ・R・トロット, 村上 雅章
オブジェクト指向におけるデザインパターンを解説した書籍。例の教科書的な本よりも平易であるようなレビューを見て、選んだ。サンプルのソースも、シンプルで分かりやすかった。
デザインパターンを学んだのは実は初めて。けれど、すでに使っているパターンがほとんどだった。このパターンがあることによって、「○○パターン」と特定の構造を言い表す“共通語”ができるということが何よりも大きな収穫だろう。前にオブジェクト指向の本と言えばclassやvirtualについて解説している本ばかりで「本質的でない」と感じていた。パターンによってオブジェクト指向に近づいたが、それでもまだオブジェクト指向的設計を語るには言語が足りない気もする。また、もともとの建築のデザインパターンの書籍「The Timeless Way of Building」(Christopher Alexander)からの引用なども興味深かった。読んでみたい。
あと面白かったのが参考文献。技術書が並んでいるのは普通なのだが、その後である。「個人的にお薦めの書籍」と銘打って、「『Stories of Strength, Refuge, and Belonging』人の祈りを取り扱った素晴らしい書籍です」とか『中世ヨーロッパ文化史-宗教と西方文化の興隆』とか、まるでPCとは関係ないと思われるような書が並んでいる。PCの書籍よりもこれらの書籍の方に強く興味を引かれた(が、それで良いのか…)
もう1冊、リファクタリングの本も買ってあるから読まなくちゃ…。
2004 文藝春秋 山本 文緒
「日常は、喜びである。それがどんな日常であっても。どんな変化も、それは突然に起こったことでなく、気がつかないうちに徐々に自分が選んできたことなのだ。」
山本文緒さんの10年間のエッセイをまとめた本。山本さんの作品は、まだ数えるほどしか読んでいないけれど、小説を読む気分じゃなかったので読んでみた。“王様はフリチン”と男を評しているところとか、“最近同衾していますか?”などと書いている率直さがやっぱり好きです。
山本さんが横浜出身だということを知らなかった。興奮してくると神奈川湘南系の「だべ」方言が出て、有隣堂が日本で一番大きな本屋だと思っていた、とか読むと、親近感がバリバリ沸いてきた。なんちゃって横浜人の私も足しげく通った関内の有隣堂に、久方ぶりに行ってみたくなった。ファンレターでも書いてみようかなぁ…。