ウは宇宙船のウ

1997 小学館 萩尾 望都

 

レイ・ブラッドベリの傑作短編を萩尾望都が描く、珠玉のSFポエジー全8篇。

ポエジーって「詩」っていう意味みたいだけど、小説とかよりも詩に近い。どの短編も叙景的で悲しい。どこか青臭いところも悪くない。

消費税をどうするか―再分配と負担の視点から (岩波新書 新赤版 1204)

小此木 潔 岩波書店 2009年9月

 

朝日新聞論説副主幹の小此木氏による消費税解説。

– 財政赤字と、その責任(デフレ、減税)
– 消費税の歴史
– 貧困、格差
– 欧米の例 … 日本がよく引き合いに出すアメリカにはそもそも消費税ないし。ヨーロッパも日用品はゼロ税率か軽減税率。
– 税制改革の提言 … 2%上げるのがいいとか結論している。おい。

定説の域を出ない当たり障りのない解説という印象。

ドリルを売るには穴を売れ

青春出版社 佐藤 義典

 

マーケティングの基礎知識をドラマも混ぜて分かりやすく解説した本。

– マーケティング脳を鍛える
– あなたは何を売っているのか?
– 誰があなたの商品を買ってくれるのか?
– あなたの商品でなければならない理由をつくる
– どのようにして価値を届けるか?
– 強い戦略は美しい

分かりやすいし、さらっと読めた。素人にとってはハッとするアイデアが詰まっていて興味深かった。

ソクラテスの弁明・クリトン

1964 岩波書店 プラトン, 久保 勉

 

ソクラテス「だって、クリトン、この年齢になっていながら、いよいよ最期が迫ったといってもがくのも馬鹿げた話じゃないか」

ソクラテスの裁判、その後の牢屋での会話。

ちょっとこれだけじゃソクラテスを好きになるのは難しいなぁ。

クリシュナムルティの瞑想録―自由への飛翔

1998 サンマーク出版 ジッドゥ クリシュナムルテイ, J. Krishnamurti, 大野 純一

 

快楽と真摯さを両方一度に求めるから絶望的になるのである。一方で真摯になろうとして、他方では世間的な快楽を求めようとしている。けれども世俗的な快楽は結局のところいかにも卑小なので、さらに加えていわゆる<神>という快楽を求めるようになるのである。

「俗世間を去り、人里はなれた場所や修道院に引きこもる時代は終わり、代わって開かれた生と明晰な理解の時代がやってきた。」と宣言したクリシュナムルティによる瞑想録。

瞑想が大切って、よく書いてあるが、やり方がわからん。

イーグルに訊け―インディアンの人生哲学に学ぶ

2003 飛鳥新社 天外 伺朗, 衛藤 信之

 

「人間が命の糸を編んでいるのではない。人間はその中の一本の繊維にすぎない」

古来の価値観を守って生きているインディアンを取材し、インディアンの世界観を噛み砕いて説明する。そこからバランスが崩れた現代の資本主義社会が置いていった価値を省みる。パイプセレモニー、サンダンスなどの伝統文化も紹介されている。

イロコイ五部族に伝わる、氷河期から紀元前1000年くらいまでを歌い継いでいる「一万年の旅路」という歌はぜひ知りたい。中国系アメリカ人の犯罪率が低いという話も面白かった。ウィルパーのいわゆる西洋文化に根ざした理論でインディアン文化を分析するのは変である。同化政策などの悲惨な歴史にも触れていて良かった。しかし衛藤先生の壮絶な幼少体験を乗り越えて生きている姿が一番印象的だったかもしれない。

現代台湾を知るための60章

明石書店 亜洲奈 みづほ

 

国際関係、政治、経済、社会、文化、芸術に分かれた60章で現代台湾を様々な角度から分析した本。

日本、台湾、どちらにおもねることなく語られていて、程よいバランスが心地よかった。4台エスニックグループ-ビンナン系、客家、先住民、と大陸系の移住者-を抱える他民族国家の台湾が、民族的政治的に根本的にアイデンティティの問題を抱えているというのは興味深かった。先住民のために選挙によらない8/225議席を与えられているという先進的な民主主義があったのはショックだった。別の本によると12民族、37方言があるそうだ。政治についても語られていて良かった。もっと整理して勉強が必要なことを感じた。サヨナラ・再会という映画はみたい。

生命とは何か―物理的にみた生細胞 (岩波文庫 青 946-1)

シュレーディンガー 岩波書店 2008年5月16日

 

物理学者のシュレディンガーが分野を超えて、物理学の見地から生物を語り、分子生物学の生みの親となった。

「生物と無生物のあいだ」に書かれていたことが、書いてあった。驚くのがまだDNAの存在が確認されていないときに書かれたということだ。