天涯の花

2000 集英社 宮尾 登美子

 

我々は、山に関わる森羅万象にすべて感謝し、呼び名には必ずさんをつけるばかりでなく、山にあるもの一木一草とも損傷してはいかん。
ええかね、空にはお陽いさん、月さん、星さん、お山さんでは花さん虫さん、お社さんは山頂に大剣さん、この地にお剣さん、稀に行き合う人があればお人さん、お気をつけなして、と挨拶する。
何に向かっても有り難う、と礼を述べる気持ちを忘れては一日もここにはおれんけんね。」

施設で育った珠子は15歳で、人里離れた剣山の神社で宮司を務める60すぎの国太郎夫妻の元に養子に行く。まっすぐに育った珠子は国太郎やその妻すぎを助けて生活をし、二十歳を迎え、将来へも思いをめぐらせる。

宮尾登美子さんのことは正直まったく知らなかったのだが、篤姫の原作にもなっているすごい人だった。この物語にはどっしりとした安定感があったが、人物像については食い足りない部分もあった。篤姫のドラマは見ていないが、小説は読んでもいいなぁと思った。

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