魂萌え !

2005 毎日新聞社 桐野 夏生

 

敏子は59歳。夫婦ふたりで老後の生活を平穏に送っていくはずだった。しかし、夫・隆之が心臓麻痺で急死し、その人生は一変した。8年ぶりにあらわれ強引に同居を迫る長男・彰之。長女・美保を巻き込み持ちあがる相続問題。しかし、なによりも敏子の心を乱し惑わせるのは、夫の遺した衝撃的な「秘密」だった。老いと孤独をテーマにした作品。

派手なタイトルなわりには、主人公が地味でビックリした。けれど徐々に変わっていくので多少は救われた。「一生懸命努力しなければ、なかなか信頼関係を築くことができないような、もどかしい夫婦関係だったということ。」信頼関係を自然に築けるって、一番大事じゃないか。

私の祖母が、亡くなった祖父について「会社に行っていると思っている」と語ったときには驚いた。亡くなって、もう何年もたっていたからだ。たしか女性が亡くなった後の男性の平均余命は4年で、男性が亡くなった後の女性の平均余命は20年とか聞いたことがある。この辺をテーマにした作品をもっと読みたい。

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