川の深さは

2003 講談社 福井 晴敏

 

「あなたの目の前に川が流れています。深さはどれくらいあるでしょう?1、足首まで。2、膝まで。3、腰まで。4、肩まで」

葵は質問をすると、悪戯な笑みを含んだ顔で二人の男を交互に見た。。。桃山はマル暴を辞めて、しがない警備員に身を落としていた。平凡な毎日を突き破るように、深夜のビルに葵が助けを求めてきた。少年といっしょに。彼は大怪我を負っていた。なぜだか桃山は二人を助けたくなる。世界的な組織が絡み合う物語はこうして始るのであった。

黒く塗りつぶされた背景の中に、消え入りそうな人々の交流がほのかに描きだされる。しかし、その心の交流が物語を動かしていく。途中、幸せな気分になった。心が温まる。人の心を温められるような人間になりたいなぁ~、無理だけど。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です