国家の品格

2005 新潮社 藤原 正彦

 

4,5年前だろうか。藤原先生を初めて見たのはNHKの番組だった。コンピュータが人間と同じように思考できるか?という命題に対して、チューリングマシンの権威みたいなアメリカ人との対談だった。そこで、すでに論理に公理が必要ということを言っていて、「サクラや花火が美しいのは人間には死があるからだ。それをコンピュータに再現することは不可能だ」と言っていたのが印象的だった。

藤原先生は、論理の限界や、自国文化の理解と読書の必要性、愛国心ではない“祖国愛”の大切さなどを経験を交えながら分かりやすい文体で語っている。道徳には論理的な理由がなく、それは体に叩き込まなくてはいけないもので、それはむしろ論理の出発点である。また国家というものは自由を制約するもので、自由も平等も幻想だと切って捨てる。随所に見られる先生独特のウイットでも笑ってしまう。一読しておいて損はない日本人への提言かな?

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