読書案内―世界文学

1997 岩波書店 サマセット・モーム, 西川 正身, William Somerset Maugham

 

以下にかかげる書物は、あなたが学位をとる助けにもならなければ、生計を立てる役にもたたないであろう。船をあやつることを教えてもくれなければ、動かなくなった自動車をふたたび走らせることを教えてもくれないであろう。そのかわりに、あなたがより充実した生活を送ることには役立つであろう。」

膨大な文学の前で途方に暮れている人への読書指南。人物に主眼を置いた作品の解説が面白い。「とばしてもよい」というのが目からウロコだった。私も時に飛ばしていることがある。モーム氏のようにまったり読むのが理想だけど…。

「朝、仕事をはじめる前に、わたくしは、科学書なり、哲学書なり、新鮮で注意深い頭脳を必要とする書物をしばらくよむ。それによってよき刺激をうけて、わたくしはその日の仕事にとりかかる。その後、仕事がおわり、きもちはくつろぐが、はげしい努力を必要とする精神活動はやりたくない気分になっているとき、わたくしは、歴史、随筆、批評、ないし伝記をよむ。夕方になると小説を読む。以上のほか、よみたい気分になったときの用意に、詩集を一冊いつも手近かなところにおいておく。よる寝るときには、どこからよみはじめ、どの一節のおわりでやめようと、少しも心をかき乱されることのない書物を一冊、といっても、めったに見つからないが、そういった書物を枕元に用意しておく。」

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です