1991 岩波書店 勝俣 誠
現代アフリカを解説した書籍。植民地vs独立vs連邦制化、社会主義vsイスラーム主義vs民主主義、汚職vs援助vs貧困、農業vs工業。大きな流れをさらっている。
文章は分かりやすかったが、構成がもう少し工夫できたら、頭の悪い私でも整理しやすかったかもしれない。全体としては一本筋が通っていて、良い印象を持った。
アフリカは人類の故郷であり、民族的にも多様性に満ちている。一番○○な民族がいる割合が高いのではないだろうか?しかし、今なお貧困にあえいでいる。カメルーンの女性研究者によると、以下の3点がアフリカの開発を阻害しているということだ。①科学的好奇心が薄い。②大規模に使用されている文字がない。③広域に渡る同朋意識が希薄。植民地化や貴金属を巡った部族間での代理戦争などの要素も多分にあると思うが、好奇心と公共心が希薄というのは大きいと思う。たが金融にして狭い部族間でのシステムが機能しているなど、西欧と異なるシステムを築いていく道を見つけるのがよいのか。
「この大陸の自然、歴史、文化は限りない多様性を秘めている。開発援助という名を借りて、もっぱら「北」の先進工業国の経験から引き出された市場原理による近代化を、あたかも地球唯一の普遍的な社会・経済のモデルであるかのごとく錯覚し、この大陸に対してそれを押し付けようとするならば、地球上のすべての人々が学び、わかち合うことのできるこの大陸の豊かな多様性は見えなくなってしまうであろう。」