1982 新潮社 遠藤 周作
「イエスの奇蹟物語が長い歳月を経て作られたものではなく、彼の死後、ほとんどただちに人々の間に語られたという事実を否定することはできない。」
イエスの死後、ステファノ、ポーロといった強烈な個性がキリスト教を形作り、広めていった様子を描いた作品。
一番強烈だったのはローマ人の物語にもあったと思うが、エルサレムの陥落だ。そんな体験をした民族はより強いアイデンティティを持つにいたると思う。また遠藤氏は不信の危機に何度もさらされていたのだろう。それが作品を生み出すエネルギーに昇華されたのかもしれない。