1957 岩波書店 コクトー, 鈴木 力衛
「この愛情は、愛情についての知識に先立つものだけに、いっそう彼の心をむしばんだ。それは救いようのない、漠然とした、強烈な苦しみであり、性欲も目的も伴わぬ清浄な欲望であった。」
孤児のエリザベート、ポールは現実と乖離したその世界に浸る。ジェラール、アガートも加わり、愛憎の中で繰り広げられる悲しい物語。
こてこての描写は良いのだけど、その描写ごしにしか物語を感じることができなかったので、感情移入が難しかった。物語そのものは美しいと思うのだけれども。