ソルト (原題:Salt)

2010 コロンビア ピクチャーズ フィリップ・ノイス

アンジェリーナジョリーに惹かれてみた。

登場人物

ソルトはCIAに所属する女性諜報員であり北朝鮮に拘束される。夫のマイクの熱心な保釈に向けた活動により、捕虜交換という形で釈放される。テッドはソルトのCIAの上司。

物語の始まり

ソルトの夫であるマイクの誕生日に突然、ロシアからの亡命者オルロフがCIAに出頭する。ソルトが尋問するとオルロフは、幼少期から特殊な訓練を受けたロシアのスパイがアメリカに潜入していることを話し始める。そのスパイの一人がアメリカ副大統領の葬儀でそこに出席するロシア大統領を暗殺すると話し、そのスパイの名は「イヴリン・ソルト」であると告げる。
 尋問を聞いていたCIA防諜部の人はソルトが二重スパイではないかと疑うが、ソルトや上司のテッドは否定する。家にいるはずの夫マイクと連絡がつかないことが分かった彼女は、マイクの安否を確認するために自らもCIAから逃走を始める。

テーマ

愛と復讐ではないだろうか。夫マイクへの愛がソルトに新しい生きる意味を与えた。

最後に

残忍さも少しあるスパイ映画だが、逃走劇は手に汗握る。ソルト役のアンジェリーナ・ジョリーのアクションも見どころ。現実から逃避したくて、熱くて息つく暇もないアクションを見たい人にはおすすめです!

斉木楠雄のΨ難

2017 プラスディー 福田雄一

超能力をもっている斉木を中心としたブラックコメディー。漫画・アニメとは独立したストーリーの映画。

登場人物

斉木楠雄は幼少期から超能力をもつ高校生。平穏で目立たない高校生活を望んでいる。照橋心美は誰もが憧れる高校のヒロイン。斉木のことが気になっている。燃堂力は何も考えていない筋肉キャラ。海藤瞬は厨二病。

物語の始まり

斉木楠雄が幼少期から超能力を持っていたことを振り返る。今は高校生になっていて超能力を隠して暮らしている。高校では文化祭が開催されるが、問題が起こると文化祭がなくなってしまうために、斉木が先回りして問題を未然に防ごうとするが、、、

テーマ

典型的だが濃ゆいキャラクターたちが織りなす学生生活。人が本当に考えていることと行動のちがいがブラック。何でもできるような超能力をもっていていも持て余す友人たち。おもしろい。

最後に

超学生高学年くらいでも面白いかも。オリジナルストーリーながら濃ゆいキャラクターがうまく噛み合っていて、見ごたえがあった。映画に関しては主人公役の山﨑賢人や海藤役の吉沢君がかっこいい。そういうところだけでも見てみても良いかも。ぜひぜひ見てみてくださいませ。

カメラを止めるな!

2017 PANPOKOPINA 上田慎一郎

傑作として名高いが、ネトフリにあったので見てみた。二段構えの展開が斬新。

登場人物

日暮隆之は映画監督でゾンビ映画をとっている。

物語のはじめ

とある郊外の廃墟で、ゾンビものの自主映画の撮影が行われていた。その建物には、かつて日本軍が死体を蘇らせる実験をしていたという、忌まわしい都市伝説があった。クライマックスシーンの撮影中、監督はヒロイン役の女優・千夏の演技に本物の恐怖が足りないと苛立ち、建物の屋上に血糊で禁忌のサインを描く。すると、カメラマンが血まみれのゾンビと化して、ほかの撮影スタッフも次々と犠牲になっていく。ゾンビから逃げ延びることはできるか?

テーマ

映画撮影の裏側や演技などがテーマなのかな?この映画の制作の裏側自体がテーマというか。ある意味、三段構えになっている映画なのかも。

最後に

展開がスリリングで誰がみても面白い映画。すべてが伏線になっていて、それを回収していく。見たことない人はぜひ見るべき!

恋するアプリ Love Alarm

2019 スタジオドラゴン

登場人物

キム・ジョジョは幼いころに両親をなくしている高校生。学校では修学旅行に参加しなかったり、給食を食べなかったりと、バイトをしながら貧しく暮らしている。ファン・ソノはイケメンモデルで政治家の息子。お金持ちだが満たされない。イ・ヘヨンはキム・ジョジョを好きで一緒の場所でバイトをしたりしている。ヘヨンの母ファンの家に住み込みで働いていて、ヘヨンはソノと同じ家に住んでいる。

物語の始まり

へラブアラームという自分を好きな人が10mいないに来たら分かるシステムが開発された未来。ジョジョは友達には塾に行くと行って分かれるがバイトに行く。ジョジョとヘヨンは同じ焼肉屋でバイトしているが、その帰りにヘヨンはジョジョをこっそりと尾行して盗み見てから返ってくる。たまたまそのときに久しぶりに韓国に帰国して居合わせたソノはヘヨンとジョジョを目撃する。ヘヨンとソノは一緒に寝るが身分が違う。翌日にソノが登校すると女性の目を集める。ソノはジョジョを見かけ、ヘヨンが好きなジョジョをソノは気になりだす。

テーマ

貧富の差が色濃く描かれている作品。貧しさ。片思い。心理とアプリがつながっていてくるのが見せてくる。ジョジョの過去の謎。ラブアラームの謎。謎が展開を引っ張る物語。

最後に

ジョジョ役のキム・ソヒョンが可愛いが、ソノもかっこよく印象的な顔立ちだ。そんな二人のやり取りや片思いのヘヨンと、ラブアラームの関係はぐっと引き込まれる。貧富の差の描写も生々しく物語の縁に陰影をつけ、ラブストーリながら甘くない味付けにしている。とはいえ学園モノのラブストーリーがベースにあるので、きゅんきゅんも楽しみたい人にもオススです!

ファイナルファンタジーXIV 光のお父さん

2017 毎日放送 野口照夫/山本清史

Netflixにあったのでたまたま見たが素晴らしい作品だった。

登場人物

稲葉光生(あきお)はゲーム好きの会社員。ファイナルファンタジーの世界でマイディーとして活動している。稲葉博太郎(ひろたろう)はあきおの父。

物語の始まり

あきおの父は突然に会社をやめてしまった。ある頃から会話がなく理由がわからない。意思疎通を図るためファイナルファンタジーの世界を利用して、光のお父さん計画をたてる。引退した父にゲーム機を買ってファイナルファンタジーの世界に入ってもらう。父は自分にインディーという名前をつけて、ゲームを楽しみだし、ついにゲームの中でマイディーと遭遇する。

テーマ

父との交流が主軸。初心者のお父さんのプレイも面白い。大規模多人数同時参加型オンラインRPGの世界とその仲間との交流。幼い頃の思い出。原作とは違うのか主人公の会社生活も少し出てくる。なぜ父さんは会社をやめたのか?

最後に

お父さんの様子や息子との交流は微笑ましい。なによりお父さん役の大杉漣の表情が最高である。またこれが事実というのも驚いてしまうし、マイディーさんのその後の映像化の仕事も感動するし、その後も悲しい。何重にも物語が積み重なっているドラマ。ぜひマイディーさんの渾身の作品を見てほしい!

ミドルメン/アダルト業界でネットを変えた男たち (字幕版) (原題: MIDDLE MEN)

2010 Paramount ジョージ・ギャロ

インターネット黎明期にアダルトサイトで大成功を収めた男たちがトラブルに巻き込まれていく話。

登場人物

 ジャックは病気の友人のためにナイトクラブの経営を手伝う弁護士。ウエインはインターネットでポルノが見られないことを不思議に思う。バックは元NASAの科学者で、オンラインでクレジットカード決済を可能にするプログラムを15分で作成する。

物語の始まり

 薬物中毒のウエインとバックはポルノ映画のリールを見ながら過ごしていましたが、ウエインはインターネットでポルノを売ることを思いつき、バックはすぐにインターネットでの決済システムしポルノを閲覧できるサイトを作る。さらにポルノコンテンツが必要になった2人は、地元のストリップクラブを所有するロシアのマフィア、ニキータ・ソコロフに接触する。ソコロフは、ストリッパーを撮影・撮影する許可を与える見返りとして、事業の25%を要求し、2人はこれに同意します。その映像をインターネットに載せると、売上はまたたく間に日商100万円に達し、ラスベガスで豪遊したりする。
 しかし、ソコロフとの約束を反故にして売上の一部を収めなかったことから大ごとに発展する。そこで弁護士のジャックに頼むが彼はインターネットポルノの仲介ビジネス(ミドルメン)にビジネスを少し安全な方向に移行させていくのだが、ポルノビジネスは社会の根底を揺るがすだけでなく、時には国際政治にも関係するビジネスであるので、さまざまな問題に突き当たる。

テーマ

 人の欲求に関係するビジネスの爆発力は強い。また、動くお金が大きくなるとさまざまな問題が発生する。裏のビジネスを生業にすると人生は生きにくい。

最後に

 インターネットの決済システムをわずかな時間で構築するという天才的な一面をもつウエインやバックだが、ビジネスというのはなかなか難しいものだと感じた。けど実現して大金持ちになるアメリカンドリームはすがすがしい。

 いろいろな事件は起こるけど、中東の戦争と関わっていたというエピソードは本当なのかわからないけれども面白い。少しダークだけど、スカっとするかもしれない。裏の世界が垣間見える作品。怪しい世界を見たい人にはお勧めの作品です!

イフ・アイ・ステイ 愛が還る場所 (原題: If I stay)

クロエ・グレース・モレッツ, ミレイユ・イーノス 2014

 

ミア17歳、高校3年生。親友と呼び合える友達がいて、つきあい始めて1年の大好きなミュージシャンの彼氏がいる。将来の夢はチェロ奏者。今はジュリアード音楽院への入学をめざして猛練習中。
そんなミアを、ある雪の朝、突然の悲劇が襲った。一家が乗った車に対向車が突っ込み、ミアは一瞬にして家族を失ったのだ。病院のベッドの上、昏睡状態のミアの目に映ったものは、ベッドに横たわる自分の姿と幸せだったこれまでの人生、そして、彼女を死の淵から呼び戻そうとする人々の姿。生か死か、どちらを選んでも過酷な状況で彼女はいったいどちらを選ぶのか。

 

正直、はじめを少し見て、主演の二人の演技がいまいちと感じて、見るのを止めてしまったが、思い直して見てみた。子を思う親の気持ち。これはいつも感動する。クロエ・グレース・モレッツの顔が整形っぽくて気になる。親も整形外科みたいだし。しかし、彼女の弾くチェロはすごい。もちろん音は後付けだろうが、3ヶ月でこのように弾けるなんて、ほとんどありえない次元。音楽映画としても完成度が高い。

 

娘を持つ男親はがんばってみる価値ありです。

文庫 銃・病原菌・鉄 (上) 1万3000年にわたる人類史の謎 (草思社文庫)

ジャレド・ダイアモンド (著), 倉骨彰 (翻訳) 2012

 

この本もまた長いスパンで人類の歴史を知りたいと、手に取った。

ニューギニア政治家のヤリは聞いた「あなたがた白人は、たくさんのものを発展させてニューギニアに持ち込んだが、私たちニューギニア人には自分たちのものといえるものがほとんどない。それはなぜだろうか?」

進化生物学者でカリフォルニア大学ロサンゼルス校医学部教授である著者は「世界の富や権力は、なぜ現在あるような形で分配されてしまったのか?」「南北アメリカ大陸の先住民、アフリカ大陸の人びと、そしてオーストラリア大陸のアボリジニが、ヨーロッパ系やアジア系の人びとを殺戮したり、征服したり、絶滅させるようなことが、なぜ起こらなかったのだろうか?」というシンプルで根源的な問いについて答えられないかった。そこで著者はこの謎について、1万3千年前に遡り大陸ごとの発展などを人類の進化、歴史、生物学、言語学などの豊富な知識を駆使して説き明かすことを試みる。ピューリッツア賞受賞を受賞した話題作。

 

プロテスタンティズムと資本主義の倫理が宗教の観点から現代世界のありようを説明したとすると、これは歴史と地理的な観点からそれを説明しているように感じた。本書では地理的な環境要因により、偶然にこのようになったと結論付けている。この結論は概ね納得できるが、著者も民族ごとの保守性について触れている箇所もあり、環境による要件ですべて理由付けするのは無理があると感じる。企業でいうと、「アップルの成功の原因はアメリカで起業したからです」と説明できるだろうか?たしかにバングラデシュにジョブズが生まれても今日の成功を勝ち取ることはできなかっただろう。ただアメリカという環境要因だけでは説明できないのは自明で、企業の性質や決定なども大きく影響している。他者を排除した性質については大勢に影響なし、とのことなのだろうか。また、動物・植物にも家畜化・栽培化できるできないという性質的な要因があり、それが今日の状況に影響している、とも著者が言っているので、それが人間に適用できなことの方が不思議だ。

さらに、富と権力が欧米に分配されているというのはちょっと違っているかもしれず、実はユダヤ人に分配されているのかもしれない。さらに欧米が技術的経済的に他の地域を圧倒しているのは、この数百年のことであって、次の数百年はどの民族が世界を圧倒するのかは分からない。時期によって世界の中心は違っていた。メッカが世界の中心であった時期もあったし、ローマが世界の中心であった時期もあった。ニューヨークがいつまで経済の中心であるかは分からない。

いずれにしろ著者が提示した命題は素晴らしいもので、読み物としてドラマチックで面白いのは間違いなので、一読はお勧めする。ただ、結論については一説として留めておくのが賢明だろう。

アレクサンダー大王―未完の世界帝国

1991 創元社 ピエール ブリアン, 福田 素子, 桜井 万里子

 

カラーの絵や写真もちりばめてアレクサンダーの偉業を解説した書籍。歴史的意義にも触れている。

アレキサンダーがものすごいスピードで征服できたのは、天才的な戦術もあったのだろうが、ダレイオスが治めていたペルシャのリソース・インフラがあったからだと感じた。またそのリソース・インフラを使ったからこそ簡単に滅びたのだと思う。

さらに注目すべきは「アレキサンダーと近代植民地主義」の項だろう。なぜ彼がこんなにメジャーかがはっきりする。

「19世紀半ば以降、アレキサンダーが成しとげた業績は、中等教育を受ける生徒の教材として取り上げられるようになった。当時の教科書において一貫して強調されているのは、ヨーロッパ以外の国々に工業文明をもたらした植民地制服の積極的な面だった。平和、諸民族間の融和、都市化と商業の進展、ヨーロッパからの文化モデルの伝播など。それらは、ヘレニズム時代からローマ時代にかけてプルタルコスや他の多くの作家たちが述べてきた決まり文句の、陳腐な繰り返しにすぎない。」

「教科書の執筆者たちは、古代の作家たちの記述にあるアレキサンダーの性格のかんばしくない面を、目立たないように隠したり、さらに否定してしまう傾向があった。同時代の政治家や文筆家(ナポレオン、モンテスキュー)の判断が、しばしばその拠り所として持ち出された。」

「神父はアレクサンダーの制服に見いだした「科学的」意義を強調するのである。以後多くの作家たちが、躊躇なくこのアレクサンダーの制服を「発見の旅」に仕立て直すことになる。これはR・ドマンジョンの主導のものに作り上げられた「植民地地理」のきわめて特徴的な視点である。」

日本一元気な30人の総合商社

  • 寺井 良治
    小学館
    2010年6月16日

旧日商岩井(現、双日) の社内ベンチャー会社を改造した寺井社長による熱いメッセージ。

その一つが「総合商社はインキュベーターたれ」。

「神戸製鉄所、帝人、サッポロビール、IHI、日本セメント、昭和シェル…。いずれにも名だたる大企業ですが、みなさんはこれらの企業がたった一つの会社によって育て上げられたことをご存知でしょうか。それが、日商岩井の前身に当たる「鈴木商店」です。」