砂の女

1981 新潮社 安部 公房

 

人気の理由は薄くてさらっと読めるからだと思う。文章はわかりにくく、眼の前に情景が浮かんでこないようなところもあった。まあストーリーは置いておいて、結局、現代社会への風刺だと思う。今の生活だって不条理な徒労の中で、いくばくかの楽しみを見つけ出して、暮らしているんでしょ?けど、人間ってそれでどうにかできちゃう。作者の意図を裏返せば、人類の不条理な徒労に対する許容力の賛美とも解釈できる。

いたいけない中学生のときに阿部公房の「箱男」「他人の顔」とかを母親に紹介されて読んだのが、私のありようの根源だと思われる。

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