自動車の社会的費用

1974 岩波書店 宇沢 弘文

 

『イキガミ』という漫画を知っているだろうか?この漫画の日本では、「国家繁栄維持法」によって、国民に「いのちの価値」を考えさせることで国家をより豊かにしている。およそ1000分の1の確率で選ばれた18~24歳の若者が、24時間後には死んでしまう…。国家の繁栄のために命を?!とあまりにも現実離れした設定であるように感じる。

ひるがえって、現在の利便性を追求した自動車社会である。年々、法律が厳しくなっているせいか、死亡者数は減っているが、それでも18年度も6000人近くの人が亡くなっている。負傷者数にいたっては100万人を超えている。効率化のために犠牲になっているようにも見えないだろうか?もちろん包丁にだってフォークにだってリスクはあるが、自動車社会が市民に与えている影響は大きいように思える。もちろんメリットも計り知れないが、結果的には市民の基本的権利を大きく阻害する要素にもなっていないか?というのが著者のスタンスだ。

著者は経済の専門家である。経済の専門用語が頻出して後半は読みにくかった。自動車は安価な交通手段だが、その費用を「内部化」できていないという。利用者が支払うべき費用を支払わないで、使っているということだ。たとえば、先にあげた交通事故の費用や、環境に与える影響を費用化したものだ。環境汚染はきっと各種のアレジーの原因にもなっているだろう。もし事故が起こりにくい道路の建設などを含めた社会的に費用を算出してみると、車一台辺りの価格は200万円/年になるという。また道路の建設に関しては弱者が大きな負担を強いられているということだ。

かくいう私は、車をコスって修理に出しましたorz
ガソリンも上がったし、もう、普通に車の維持費って高い…。
そういえば、奈良にはNOxの規制もないらしい。

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