死海のほとり

1983 新潮社 遠藤 周作

 

今はキリスト教から離れて久しい主人公がエルサレムを訪れて、イエスの生涯を追うという物語。現在の旅行と、当時イエスに関係した人の物語が交互に語られる構成。「イエスの生涯」と表裏をなす作品とのこと。

遠藤周作のイエス観、ここに極れり、といった感じ。無力で線が細く恐れ怯えるイエスが徹底的に描かれている。以前に「パフォーマーだった」というイエス観を見たことがあるが、どちらかというと、この駄目駄目イエスの方が良い。もしかして、歴史上屈指の「痛い人」だったんじゃないかとも思ってしまうほど。だが、それがいい。

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