チョコレートドーナツ (原題: Any Day Now)

2012 Music Box Films トラヴィス・ファイン

登場人物

ルディ・ドナテロはドラァグクイーンとしてナイトクラブで歌のパフォーマンスをしている。ポール・フラガーはゲイでナイトクラブに現れる。判事である。マルコ・ディレオンは隣人のダウン症の子供。

物語の始まり

ルディはいつものようにパフォーマンスしていると、熱い視線を注いでいるポールに気づく。別れ際にポールはルディに名刺を渡す。ルディは次の日に起きると部屋にマルコが立っている。母親が帰ってこないという。ルディはポールに電話して相談しようとするが取り次いでもらえず、直接に職場に乗り込んで事情を説明して助言を乞う。ポールは家庭局に電話しろというが、ルディは家庭局はひどい場所だとして、決裂する。家に帰ると家庭局が来ていてマルコは連れて行かれてしまう。ポートはルディと和解したくてナイトクラブを再び訪れる。お互いのことをもう少し知り合って和解する。ポールは世の中を変えるために法律を勉強して判事になったという。二人で車で走っている際に脱走したマルコに遭遇して、家に連れて帰る。結局マルコのことを通報されて同じところに住めなくなりルディとマルコはポールの家に転がり込む。

テーマ

家族!正義!マイノリティ。偏屈な周りの人達。なんで世の中ってこうなんだろうか?というような反応。

最後に

正義漢のルディにまけないくらいポールも正義漢である。しかし、なんとかするために二人は行動するが、現実はままならない。彼らがマイノリティであることも足をひっぱる。クラシックの名作である。正義漢あふれる人にはぜひみてほしい映画です。

魔法にかけられて 

2007 ディズニー ケヴィン・リマ

はじめはどこで見たのかAmazonだったのかもしれない。好きなので三回はみています。

登場人物

 ジゼルはおとぎ話の世界・アンダレーシアに住む麗しい乙女で、王子様との出会いを待っている。ロバートはニューヨークで離婚専門弁護士をしていて、妻は他界している。現実主義的な考えを持っている。その一人娘のモーガンもロバートに影響されて現実思考的である。アンダレーシアのエドワード王子はジゼルに会い結婚式をあげようとしたが、ジゼルがいなくなりニューヨークに乗り込む。

物語の始まり

 ジゼルはアンダレーシアでエドワード王子と結婚式に臨むはずだった。魔女に言われるがままに泉の底をみると、魔女に突き落とされて異空間に迷い込んでしまう。暗い場所から這い出すと、そこはニューヨークの交差点のマンホールであった。ジゼルは美しくない現実の世界であるニューヨークにおどろく。城のような建物に入ろうとしているところで、ロバートと一人娘と出会う。雨に濡れて一人で夜のニューヨークを彷徨っている女性を一人にしておけず、ロバートは家に泊めることにする。そこからロバートの日常は非現実的なジゼルの登場によりかき回されはじめる。

テーマ

 ギスギスしている世の中でも見方を変えれば温かい世界に変えることができる。いがみあっている人たちも見方や考え方を変えれば仲良くなれる。みんな温かい世界や、慈愛に満ちた世界を望んでいる。ジゼルは周りの人に温かい見方を与えて世界を変えていく。そしてみんな幸せになっていく。そんな物語です。

最後に

 随所にパンチの効いた風刺が入っている。たとえばネズミやカラス、ゴキブリが部屋を掃除するシーン。都会では忌み嫌われている動物たちが部屋に入ってきて、部屋を掃除する。弁護士も面白くない仕事として描かれている。多くの部分は実写で描かれているが、ディズニーの雰囲気にまったく合っていなくて、その違和感もおもしろい。

 ギスギスした世界に住んでいる人たちがギゼルの魔法によって笑顔になる。いろんな人が元気になっていくのをみて自分も元気になっていきます。楽しい気分になりたい人におすすめの作品です!

ミドルメン/アダルト業界でネットを変えた男たち (字幕版) (原題: MIDDLE MEN)

2010 Paramount ジョージ・ギャロ

インターネット黎明期にアダルトサイトで大成功を収めた男たちがトラブルに巻き込まれていく話。

登場人物

 ジャックは病気の友人のためにナイトクラブの経営を手伝う弁護士。ウエインはインターネットでポルノが見られないことを不思議に思う。バックは元NASAの科学者で、オンラインでクレジットカード決済を可能にするプログラムを15分で作成する。

物語の始まり

 薬物中毒のウエインとバックはポルノ映画のリールを見ながら過ごしていましたが、ウエインはインターネットでポルノを売ることを思いつき、バックはすぐにインターネットでの決済システムしポルノを閲覧できるサイトを作る。さらにポルノコンテンツが必要になった2人は、地元のストリップクラブを所有するロシアのマフィア、ニキータ・ソコロフに接触する。ソコロフは、ストリッパーを撮影・撮影する許可を与える見返りとして、事業の25%を要求し、2人はこれに同意します。その映像をインターネットに載せると、売上はまたたく間に日商100万円に達し、ラスベガスで豪遊したりする。
 しかし、ソコロフとの約束を反故にして売上の一部を収めなかったことから大ごとに発展する。そこで弁護士のジャックに頼むが彼はインターネットポルノの仲介ビジネス(ミドルメン)にビジネスを少し安全な方向に移行させていくのだが、ポルノビジネスは社会の根底を揺るがすだけでなく、時には国際政治にも関係するビジネスであるので、さまざまな問題に突き当たる。

テーマ

 人の欲求に関係するビジネスの爆発力は強い。また、動くお金が大きくなるとさまざまな問題が発生する。裏のビジネスを生業にすると人生は生きにくい。

最後に

 インターネットの決済システムをわずかな時間で構築するという天才的な一面をもつウエインやバックだが、ビジネスというのはなかなか難しいものだと感じた。けど実現して大金持ちになるアメリカンドリームはすがすがしい。

 いろいろな事件は起こるけど、中東の戦争と関わっていたというエピソードは本当なのかわからないけれども面白い。少しダークだけど、スカっとするかもしれない。裏の世界が垣間見える作品。怪しい世界を見たい人にはお勧めの作品です!

ウルフ・オブ・ウォールストリート (原題: The Wolf of Wall Street)

2013 Paramount マーティン・スコセッシ

たしかNetflixで練り物入りで紹介されていたので、見てみた。破天荒な証券マンの一代記。グレーゾーンで仕事をしていると足がつくぞ、という内容と理解。映画としての完成度は高く手に汗握る。

イフ・アイ・ステイ 愛が還る場所 (原題: If I stay)

クロエ・グレース・モレッツ, ミレイユ・イーノス 2014

 

ミア17歳、高校3年生。親友と呼び合える友達がいて、つきあい始めて1年の大好きなミュージシャンの彼氏がいる。将来の夢はチェロ奏者。今はジュリアード音楽院への入学をめざして猛練習中。
そんなミアを、ある雪の朝、突然の悲劇が襲った。一家が乗った車に対向車が突っ込み、ミアは一瞬にして家族を失ったのだ。病院のベッドの上、昏睡状態のミアの目に映ったものは、ベッドに横たわる自分の姿と幸せだったこれまでの人生、そして、彼女を死の淵から呼び戻そうとする人々の姿。生か死か、どちらを選んでも過酷な状況で彼女はいったいどちらを選ぶのか。

 

正直、はじめを少し見て、主演の二人の演技がいまいちと感じて、見るのを止めてしまったが、思い直して見てみた。子を思う親の気持ち。これはいつも感動する。クロエ・グレース・モレッツの顔が整形っぽくて気になる。親も整形外科みたいだし。しかし、彼女の弾くチェロはすごい。もちろん音は後付けだろうが、3ヶ月でこのように弾けるなんて、ほとんどありえない次元。音楽映画としても完成度が高い。

 

娘を持つ男親はがんばってみる価値ありです。

文庫 銃・病原菌・鉄 (上) 1万3000年にわたる人類史の謎 (草思社文庫)

ジャレド・ダイアモンド (著), 倉骨彰 (翻訳) 2012

 

この本もまた長いスパンで人類の歴史を知りたいと、手に取った。

ニューギニア政治家のヤリは聞いた「あなたがた白人は、たくさんのものを発展させてニューギニアに持ち込んだが、私たちニューギニア人には自分たちのものといえるものがほとんどない。それはなぜだろうか?」

進化生物学者でカリフォルニア大学ロサンゼルス校医学部教授である著者は「世界の富や権力は、なぜ現在あるような形で分配されてしまったのか?」「南北アメリカ大陸の先住民、アフリカ大陸の人びと、そしてオーストラリア大陸のアボリジニが、ヨーロッパ系やアジア系の人びとを殺戮したり、征服したり、絶滅させるようなことが、なぜ起こらなかったのだろうか?」というシンプルで根源的な問いについて答えられないかった。そこで著者はこの謎について、1万3千年前に遡り大陸ごとの発展などを人類の進化、歴史、生物学、言語学などの豊富な知識を駆使して説き明かすことを試みる。ピューリッツア賞受賞を受賞した話題作。

 

プロテスタンティズムと資本主義の倫理が宗教の観点から現代世界のありようを説明したとすると、これは歴史と地理的な観点からそれを説明しているように感じた。本書では地理的な環境要因により、偶然にこのようになったと結論付けている。この結論は概ね納得できるが、著者も民族ごとの保守性について触れている箇所もあり、環境による要件ですべて理由付けするのは無理があると感じる。企業でいうと、「アップルの成功の原因はアメリカで起業したからです」と説明できるだろうか?たしかにバングラデシュにジョブズが生まれても今日の成功を勝ち取ることはできなかっただろう。ただアメリカという環境要因だけでは説明できないのは自明で、企業の性質や決定なども大きく影響している。他者を排除した性質については大勢に影響なし、とのことなのだろうか。また、動物・植物にも家畜化・栽培化できるできないという性質的な要因があり、それが今日の状況に影響している、とも著者が言っているので、それが人間に適用できなことの方が不思議だ。

さらに、富と権力が欧米に分配されているというのはちょっと違っているかもしれず、実はユダヤ人に分配されているのかもしれない。さらに欧米が技術的経済的に他の地域を圧倒しているのは、この数百年のことであって、次の数百年はどの民族が世界を圧倒するのかは分からない。時期によって世界の中心は違っていた。メッカが世界の中心であった時期もあったし、ローマが世界の中心であった時期もあった。ニューヨークがいつまで経済の中心であるかは分からない。

いずれにしろ著者が提示した命題は素晴らしいもので、読み物としてドラマチックで面白いのは間違いなので、一読はお勧めする。ただ、結論については一説として留めておくのが賢明だろう。

グローバリゼーション 人類5万年のドラマ (上) 単行本

ナヤン・チャンダ (著), 友田 錫 (翻訳), 滝上 広水 (翻訳) 2009

 

長いスパンで歴史・人類の足跡を鳥瞰したいとこの本を手に取った。

移住・貿易・布教・海外遠征・侵略などの7つの観点で、人類がアフリカを出てからの動きを観察し、分析した書籍。ストーリー仕立てになっており、読みやすい。近年の多国籍企業によるいわゆるグローバリゼーションについては、ポジティブな立場でかかれており、不可避なものとして結論している。

著者が訴えたいことが「多国籍企業によるグローバリゼーションは不可避だよ」というのであれば、もう少し経済的な観点や一般の人に及ぼす影響などの観点で書いてほしかった。人類のドラマと多国籍企業の話をいっしょにするのは違う。人類の歴史は鳥瞰できたから、よしとする。

 

Life! (原題: The Secret Life of Walter Mitty)

Secret life of Walter Mitty

 

“To see the world, things dangerous to come to,
To see behind walls, to draw closer,
To find each other and to feel,
That is the purpose of life.”

世界を見よう、
危険に立ち向かおう、
壁の向こうにあるものを見よう
そこに向かって行こう、
互いを見つけよう、
感じるよう。
それが人生の目的だ。

 

ウォルター(ベン・スティラー)は、『LIFE』編集部のネガフィルム管理部門で真面目に働きながらも、地味で平凡な人生を送る冴えない男。ある日出社したウォルターは、突然のライフ社事業再編と、それによるLIFE誌の廃刊を知らされる。

この廃刊を知っていたLIFE誌を代表するフォト・ジャーナリストのショーン(ショーン・ペン)は、LIFE誌のための最後の撮影フィルムを届けた。しかしショーンが「自身の最高傑作ゆえに、最終号の表紙に相応しい」と記す「25番目のフィルム」は撮影フィルムから欠けていた。

25番目のフィルムのありかを聞くため、ウォルターは旅するショーンを追って旅に出る。内にこもりがちの男が自分と向き合い、新しい自分に出会う物語。

 

大自然の映像も美しく、ウォルターが過去の自分を顧みるとともに、力強く自分を再発見していく様に感動した。若い頃の私は未知なるものに出会うために旅をしていたんだった。 私も今の自分を脱して、未知に向かって行かなければ!

 

アレクサンダー大王―未完の世界帝国

1991 創元社 ピエール ブリアン, 福田 素子, 桜井 万里子

 

カラーの絵や写真もちりばめてアレクサンダーの偉業を解説した書籍。歴史的意義にも触れている。

アレキサンダーがものすごいスピードで征服できたのは、天才的な戦術もあったのだろうが、ダレイオスが治めていたペルシャのリソース・インフラがあったからだと感じた。またそのリソース・インフラを使ったからこそ簡単に滅びたのだと思う。

さらに注目すべきは「アレキサンダーと近代植民地主義」の項だろう。なぜ彼がこんなにメジャーかがはっきりする。

「19世紀半ば以降、アレキサンダーが成しとげた業績は、中等教育を受ける生徒の教材として取り上げられるようになった。当時の教科書において一貫して強調されているのは、ヨーロッパ以外の国々に工業文明をもたらした植民地制服の積極的な面だった。平和、諸民族間の融和、都市化と商業の進展、ヨーロッパからの文化モデルの伝播など。それらは、ヘレニズム時代からローマ時代にかけてプルタルコスや他の多くの作家たちが述べてきた決まり文句の、陳腐な繰り返しにすぎない。」

「教科書の執筆者たちは、古代の作家たちの記述にあるアレキサンダーの性格のかんばしくない面を、目立たないように隠したり、さらに否定してしまう傾向があった。同時代の政治家や文筆家(ナポレオン、モンテスキュー)の判断が、しばしばその拠り所として持ち出された。」

「神父はアレクサンダーの制服に見いだした「科学的」意義を強調するのである。以後多くの作家たちが、躊躇なくこのアレクサンダーの制服を「発見の旅」に仕立て直すことになる。これはR・ドマンジョンの主導のものに作り上げられた「植民地地理」のきわめて特徴的な視点である。」