日本史の誕生 (ちくま文庫 お 30-2)

岡田 英弘 筑摩書房 2008年6月10日

 

日本書紀や中国の歴史書などから日本の起源に迫った書籍。魏志倭人伝などは当時の政治的な意味を加味する必要があり、邪馬台国も誇張されている。倭王とは中国との窓口を勤めていた部族の長に与えられていた特権だった。百済が滅びて孤立したために、日本が日本としてのアイデンティティを確立せざるを得なかったというのが岡田氏の説である。そのときに中国語の方言を話していた先祖たちは、日本語を確立するために苦心した。

感銘を受けたのは、序説にある歴史の定義や役割だ。個人にアイデンティティや世界観を提供するものとして、宗教やイデオロギーとの機能的な差異について説明されている。宗教は現実との差異を認めずに原理主義に陥るので、歴史の方が優れているという見解が述べられていた。個人的には歴史も原理主義に陥ることがあるとも思うが、そもそも歴史が宗教などと比べられるものという認識がなかったので興味深かった。

岡田氏は専門分野の関係なのか中国から影響に偏っている気もするけど、中国についても書いているようなので読もう。

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