ボクらを作った映画たち (原題: The Movies That Made Us) シーズン1~2

2019-2021

 本も面白いし、劇も面白いが、映画も面白い。脚本、演技、美術、カメラ、音楽、それに特殊効果やCGも加わっての総合芸術と言っても良い。ヒット作と呼ばれる作品たちはどこか理路整然としていてスキがないようにも見えるが、本当のところはどうなのだろうか。誰もがよく知っている映画たちの製作の裏側を知ることができるドキュメンタリー。

構成

 シーズン1は「ダーティ・ダンシング」「ホーム・アローン」「ゴースト・バスターズ」「ダイ・ハード」、シーズン2では「バック・トゥ・ザ・フューチャー」「プリティ・ウーマン」「ジュラシック・パーク」「フォレスト・ガンプ」を紹介している。
 映画の企画がどのように生まれていったのか?から始まり、脚本がどのように作られて、それがどこかの映画会社の目に止まって、予算などの壁を打ち破り、何とか撮影までこぎつける。たいていそこでもトラブルがいろいろあり、何とか撮影が終わる。実際に携わった人たちの証言を聞きながら、時系列に起こったことを様々な人の視点から証言してもらい、製作中の難題を語っていき、映画の成功までの道のりを描く。最後に当時、撮影に使った現場を関係者が思い出を語りながら歩く。

ポイント – どんどん変わる脚本

 まず脚本がどんどん変わっていくのは当たり前のようだったが、スポンサーから脚本に基本プロットを変えるように言われるダーティ・ダンシング。クリスマスに改変したホーム・アローン。説得され設定を変更したゴーストバスターズ。基本プロットを作った脚本家がクビになるダイハード。制作会社の指示の中でタイトルの変更だけは食い止めたバック・トゥ・ザ・フューチャー。ダークな脚本をディズニー風に書き換えたプリティ・ウーマン。宇宙に行ったりしていた原作を書き換えたフォレスト・ガンプ。いろいろな人の手で磨き上げられていくものだとは思うが、やはり大変な作業だ。

ポイント – 偶然

 偶然の数々に驚かされる。綿密な計画に基づいて製作されていると想いきや、様々な偶然によって映画製作の道がひらけていったりする。ダーティ・ダンシングのキャスティングは監督がたまたま俳優を知っていたり、配給会社を転々としたプリティ・ウーマンが最後にディズニーの子会社に行き着いたとか。ジュラシックパークはCGありきで始まったものだと思っていたが、そうではなかった。ホームアローンは巨匠にお願いしたらまさかOKして映画の雰囲気がまったく違ったものになったり。ダイハードでは脚本は撮影を追いかけるように書かれていたが、話の運びに苦労して言う中、偶然、現場での俳優のジョークを良い設定を思いつく。才能があつまって真摯に仕事に向き合っているからこそ、生まれる”偶然”なのだろうけど、そこからヒット作が生まれているのは興味深い。

ポイント – キャスティング

 キャスティングにも苦労しているのを知った。ダーティ・ダンシングの主役同士の諍いや、ホーム・アローンの相性。バック・トゥ・ザ・フューチャーはなんと主役とその恋人役を撮影6週目でで変えている。ゴーストバスターは脚本を執筆中にキャスティングしようとしていた友人がなくなたり、肝心の主人公たちがなかなか揃わない。ダイハードは弱い主人公でキャスティングに苦労したが、その”弱い主人公”が以後の映画の青写真になった。プリティ・ウーマンは主役に断られたがジュリア・ロバーツがリチャード・ギアをいとめた。

ポイント – 制作会社との関係

 音楽もお金がかかる部分でダーティ・ダンシングでは脚本家のエレノアが選んだ曲を使うのには苦労していたり。ホーム・アローンは予算が却下されてストップになり途中で制作会社が変わっている。ゴーストバスターでも予算の関係で著作権を買えずにタイトルが決まらず2つのタイトル用に2回撮影したりもしている。またゴーストバスターは予算は十分だったが条件に付けられたスケジュールは厳しく、途中でさらに厳しくなる。フォレスト・ガンプも予算の関係でシーンのカットの圧力があるが、監督がお金を出したり隠れて撮影をしたりと強行した。

最後に

 とにかく、どの作品も作品を愛する人達がありとあらゆる困難を乗り越えて、完成に行き着いている。非常な情熱を持ってその映画の企画を実現させたかったというプロデューサーや脚本家を見ると嬉しくなる。自叙伝的な脚本を書いたダーティ・ダンシングのエレノアとリンダや、フォレスト・ガンプのウェンディも。特に実績もなかったりする作家の場合には何年も我慢強くチャンスをまったりしている。フォレスト・ガンプでは監督やトムハンクスがギャラを減額したりもしている。このような執念には心を打たれる。

 どれもヒット作なので知っている作品だと思う。製作の裏側や情熱的なプロデューサーたちを知ると、更に作品たちを好きになることが間違いない。映画好きにはおすすめのうドキュメンタリーです。

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